最近は俳句に没頭していて
ブログも諸事、自分の研究課題も
疎かになっている。
ま、それはそれで四十路の気楽さと思い
毎日を楽しんでいるが、
最近、新聞を読んでいて
あるトピックが自分の中に沈殿し
ある程度たまってきそうな
そんな予感もあるので
メモ程度にちょっと書こうかと思うことあり。

それはSBS米問題。
輸入米の売買同時入札(SBS)の問題で
略語のSBSはSimultaneous Buy and Sell。
これだけ見ても議論は多岐にわたるが
自分関心のあることだけをメモしようか。

一見して入札制度を見直せばいいような気もするが
そんなことじゃないだろう。
自由主義経済の不完全さ、
輸入枠は国家間の折衝によって決まるにもかかわらず、
売買に関しての国家の介入は及び腰、という
中途半端が生み出した醜い事件。
その一方で、一般市民は国家に広域貿易圏を信託させられ、
その採決が近づいているという、
まさに喜劇としか言えない状況だ。
信託を受けても、それをコントロールすることが出来ないというよりも
過度にコントロールすること自体がルール違反な状況か。
どうなればいいのかは
僕にはさっぱりわからないけど、
民間の売買を国家が統制をかけるのは
おかしいという議論の一方に、
広域貿易圏に参加する人たちの凸凹した、
それは文化的だったり歴史的な搾取だったり、
とにかく真っ平らではない条件下で
すべてを一律に動かそうというところから来る
エリア間の軋みは無視するのか、
というその辺りに問題の根底がある。
そしてそういう直感は
簡単に数字と統計のマジックで
いかようにも説明つけ諭される。
だがその諭され自体に反発を覚え
なんとなく不満があるが言い返せないと言った
感情の渦が今回のSBSとTPPかもな。
不満を抱えていては精神衛生上気持ち良くないので
まったくそんな風にも思っていないし
直接の恩恵も想像できないのに
広域貿易圏の政府広告をオウム返ししてしまうのは
心理学的には説明つけられる。

需要側の安い米をというニーズに応えて
利益を削って調整金を払って対応するのは
公正な取引に違反するようにも思うが
そもそも自由に輸入できず、官製市場でのやり取りなので
そんな論理も通用せず。
それに対して国家が過度に介入することも
また自由主義経済の空気の中では厭気なムード。

経済学的には
生産コストの高い国産米は
生産現場の構造改革、つまり大規模集約化と
今小泉さんがやっているような資材コストの廉価化に向かい
国際競争力をそのうちつけるという話なんだろう。
TPPはその一過程で、
SBSはそもそも問題ではなく
その過程で発生する中途半端が起因する問題でしかない。

今の経済の流れをまだ日本は
ナショナリズムがぼんやりと
その意味も解らず支持をしているけど
イギリスやアメリカ大統領選のように
その先にあるのが、あんな風景だとすると
帰属の共同性と同時代性によって国家を創り上げてきた
ナショナリズムは、この後、自分たちの実際の経済の中で
裏切られることを知らないで騒いでいる。
それを指摘したピケティはセンセーショナルだったけど
本が分厚く過ぎて
みんなが読むにはダメだったね。
このコミュニケーションのスピードが速すぎる時代では
イメージだけで入ってくるような
マンガで書かないと革命は起きない。
というか、『革命』という時代じゃないね。

というメモでした。
マジヤバだね。




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第65回たけふ菊人形協賛総合俳句大会に
投句していたのだが、
その一つが、
招待撰者の大塚邑紅先生に
特選として取っていただいた。
543句の中から
この句一つを特選として
取っていただくということなので
とても栄誉のあることだと思う。

取っていただいた句は、これ。

『古民家はゆるりと朽ちて秋の風』

邑紅先生からはこんな講評をいただいた。
古民家とは、文化財とかの家ではなく、
人の住まなくなった、
たぶん住民はすでに都会に行ってしまって
居なくなってしまった家のことでしょう。
人が住まなくなった家というのは
どこかしことゆっくりと朽ちていくものです。
この家もいろんな世代を
家として育んできたのでしょうが、
今では誰も住まなくなりゆっくりと朽ちていく。
この句のゆるりという表現がとても良かったです。
人間が我が物顔してこの地球で暮らしていますが
そんな人間が居なくなるのはすぐにいなくなってしまうでしょう。
でも、そのあとに残されたものは
ゆっくりとゆっくりと朽ちていくのだと思います。
その様と秋の風がとてもしっくりきていて
特選にいただきました。

とのことだった。
僕の住む集落でも
人の住まなくなった家がぽつりぽつりとある。
僕が小さかったころは、その家にはたくさん人がいたのに
いつの間にか誰も住まない、そんな家がある。
丈夫に頑丈に立っていると思っていた
それらの家も、屋根のかわらが落ちて来たり、
窓が割れて放置されていたり、
屋根が陥没したり、
人が住まない家はこうも傷むのかと
その様がとてもさみしく感じる。
さりとて
それらの家は
みじめに朽ちていくというのではなく
どこか古民家の持つ佇まいがあって
(屋根の形とか)
朽ちゆく姿がそれほど哀れでもない。
それを読み込みたくて
秋の風とゆるりに
それらを託して作った句が上記の句だった。

俳句は座の文学。
未完な表現が読み手に伝わり
読み手の解釈が加わって一つとして完成する。
邑紅先生にとっていただいて
僕の句もひとつになったとそう思う。

特選をいただくと
その選者から句をプレゼントされるのだが、
僕がもらった句は、次の通り。

『ことのほか紅葉づる草の名を知らず』 邑紅

特選の名前を呼ばれて
先生のところに句をもらいに行くと
邑紅先生はとても驚いていた。
僕が思いのほか若かったからだろう。
そこでいくつか句を用意されていたようだが
「あなたにはこの句が良いわね」と
この俳句をいただいた。

おもいがけず美しく黄葉する草もある。
しかしその草は名前も知らないただの草。
俳句は無数のただの人たちが
作句を繰り返し、練げてきた文学。
僕も名前も知らないただの草だが
美しく切り取れる場面を美しく切り取りたいと思う。




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今日は気分がいい。
だからもう一つ書こうか。
技能実習生の座学の前期最終試験。
今回は3年生のレンディだ。

正直、
彼のプレゼン前に出してきた
レポートは最悪だった。
農業構造論的には
現状の分析が断片的というか
有機的に物事につながっていないというか
デデでも指摘したけど
分析のための分析というか。
つまり、僕が教えた項目を
埋めるだけの作業を彼はしていた。
もちろん1年生にはよく見られる現象だけど
それを3年の今になっても
やっていることに腹立たしかった。
だからこれまでも
彼はずーっと僕の中では評価が低かった。
その彼のレポートが
そういう具合でも
僕にはため息しか出ない。
そんな状況で彼のプレゼンを聞いた。

彼の現状把握のプレゼンでは、
森林政策の中での農業の継続が問題点として
挙げられていた。
緑化に務めるのであれば、
国有地を三セクが貸して
そこを農地として利用できる政策がある。
彼の地域はその恩恵のために
大規模路地園芸農業が可能で
その優位性を活かして
他の地域では出来ない
別次元のお茶栽培や
ジャガイモ栽培、さらには
コーヒー栽培に特化していた。
ま、そこはいいだろう。

で、その問題点として
その森林政策が打ち切られたら
農業が継続できないというところに着眼した。
また壮大な、解決できそうもない点に
着眼したなぁ~(センスないね)というのが、
僕の感想だった。
その解決策がまた失笑もので、
彼はコーヒー栽培を例に
それを大規模栽培しつつも、
村のお母さんたちの家庭菜園としてとりくむことを
ビジネスプランとして提案した。
おいおい、そんなもの家庭菜園でやっても
全体量を賄えなし、代替え案にもならんぜ。
キューバの夢を見すぎじゃね??
とそのプレゼンを聞きながら
僕は、もう溜息しかでなかった。

ところがだ。
彼はそれが代替え案ではないと言い、
それは大衆化させることで
自分の認知度を高める活動にすぎないという。
つまり自分が政治の世界に打って出るための
布石としてのビジネスプランだとさ。
おったまげたねー!もう!
椅子からずり落ちるかと思ったよ。
正統的な理由を付けて
それを社会運動化させて
それで儲けるわけでも問題解決するわけでもなく
自分が政治家となり
政策としてその森林政策や
その代替え案を考えだすんだというのが
レンディのビジネスプランの真の目的だという。

ああ、レンディよ。
僕は君を勘違いしていた。
君は論理的に考えられない小馬鹿だと思っていた。
この3年間、ずーっと思ってきた。
でもそれは違った。
君は大馬鹿だった。
3年生の大事な前期最後の試験に
そんな博打みたいなプレゼンを
してくるなんて。
僕が今まで君を叱ってきたそのすべてが
全く君を委縮させず
こうして広く羽ばたくその姿が
とても僕には美しく見えた。

君の分析や書いたものは幼稚だ。
ぜんぜん丸はあげれない。
でもそれは、僕の尺度での話で
君のような政治家は
僕は評価できないだけの話だ。
君は大きい。
そのまま大馬鹿を徹して進め。

こういう自由な発想と
根拠のない自信と
人を真顔で喰うような思考。
それが僕がこの研修で
君らに求めていたことだとすれば
君は僕の授業の試験という意味では
期待を大きく裏切って、
そして僕の想像以上の人間になろうとしている。

質問タイムでは
優等生タイプのデデとイマンが
穴だらけのレンディのプランに
ガンガン噛みついたが、
もともと同一の思考上に立てないのだから
君らがどう正統な質問をしても
通用しなかった。あたりまえか。
それだけ彼は大きかった。

3年になれば皆
それぞれに成長した姿を見せる。
レンディはレンディとして
その姿を見せてくれた
前期の最終試験だった。

レンディよ、僕は君のような人間を愛す。





関連記事
インドネシア実習生の
前期最終試験の記録を
続けてしようか。
今回はイマン。

イマンは地元は稲作地域。
棚田の広がる中山間地。
水源に恵まれ
年に2~3回米が収穫できる。
で、彼女ら彼らが直面している問題は
土が固くなること。
緑の革命以来
化成肥料に頼った
稲作が続き、
それがために土が固くなってしまっているという。
有機物を投入しない土は
やがて滅びる。
そんなもんだろう。

で、それを分析したのちに
有機物を投入する彼のビジネスプランがあった。
彼の村では、
農耕用や食肉用の家畜が、
小規模でそれぞれの家で飼われているが、
その糞はたいていそのまま捨てられているという。
また近くの市場では
大量の野菜くずのゴミが出るが
それも再利用されていないという。
それらを資源化して
有機肥料を作るというのが彼のプラン。
ま、ありきたりと言えばありきたり。
すべての面積を有機に変えることは
不可能ということで
化成肥料との両立を彼は考えていた。

ふむ。
ただ有機農産物としてマーケティングするという
意とは無いようで
それだと手軽に投入できる
化成肥料の方がインセンティブが
あるのじゃないか?と疑問に思う。
彼の優秀な頭脳は
現実にかなり寄り添って考えるために
そのビジネスのプランとしては
夢の余白があまりない。
そこが不満だし
その壁を打ち破ってほしいね。

関連記事
久しぶりにブログをアップしようか。
インドネシア実習生ネタで。

今週は、インドネシア実習生への座学前期の
最終試験をしている。
農業構造比較論と地域発展論の二つの座学で
それらを一つの試験として行っている。

試験内容は
自分たちの地域を農業構造的に読み解き
そこから浮かぶ上がった新たな問題について
それを解決する社会的ビジネスを考えて
提案しなさい、というもの。

これまでも月間レポートで
自分たちの将来のビジネスモデルを検証してきたけど
試験ではそのモデル以外のものを
実現可能か不可能化はあまり問わず
とにかく問題を鋭く浮き彫りにして
面白いイノベーションを
リアリティたっぷりに考えてみるというもの。
どう?わくわくしない?

今回の記録はデデだ。
初めての試験で緊張していたけど
プレゼンもペーパーの出来も上々だね。
さすがは学年トップの学力で
元生徒会長だけあるね。
実践力もあり、企画力もある。

彼が考えたのは
野菜の移動販売システム。
トラックを改造して
電話やネットで出前を受ければ駆けつける。
また繁華街や住宅地を回り
店舗経営のリスクを低くしつつ
市場暴落や商人に買いたたかれるリスクも
低くしようというビジネスだった。
脆弱な流通網にニッチを見つけようという
人口密集地であるジャワなら
こういうのも面白いかもね。
コールドチェーンへのコストも
それほどかからないし
ゲリラ的に美味しいところを持っていけるかもな。
センス良いね。

でもね、デデ。
君の分析はダメだね。
農業構造の分析は一つ一つは
その通りかもしれないけど
それぞれが全体を説明しているに過ぎない。
で出来上がった全体は、
その一つ一つに必ずしもよってないってことかな。
人的資源で君は住民たちの低学歴を
統計データから問題視して
そして社会的認識から
農業をするのに学歴はいらないという
具体的な住民の話も入れてくれたけど
それがどうしてネガティブな分析結果になるのだろうか?
問題点として
それを取り上げる君の価値観こそが
僕には問題に見えたりもする。
デデのビジネスプランは
そもそもその低学歴化を解消するものでもない。
質疑と議論の応酬の結果
(イマンの質問が鋭くてよかった)、
住民が低学歴なのは、
経済的な問題も多くあるが
その中には住民が
求める農業の技術と経験を
学校教育の中で担保されないことに対する
経験知から来るのではないかと思う。
まさに農学栄えて農業滅ぶ。

そのあたりにも切り込んでいけるような
ビジネスプランだったら
及第点だったけどね。
今回は不合格ってことで
来年、頑張ってね、デデ。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
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