ぎっくり腰になった。
人生初だ。
人生初は、とにかくそのフレーズのとおり、
なんだかめでたい。
思ったより痛いのと、
思ったよりも恥ずかしい。
これまでぎっくり腰だと聞いて
ビミョーな反応をしてしまった方々、
大変失礼いたしました。
百聞は一見にしかず。
されど百見は体験にしかず。
ですな。

もともと予兆は昨日のお昼ごろにあった。
いつもより腰が張るなーって感じ。
この予兆を見逃さずにおとなしくしていれば
良かったのだけど
とにかく出張続きで
作業がほとんど進まない僕の仕事。
たまる一方だったので
エイッ!ヤッ!と無理して片付けた。
それに付き合わされたインドネシア実習生と
新人には悪いことしたな。
で、それをやり終えると
間違いなくおかしな腰の張り。
そのまま寝てはだめだと思い
入念なストレッチ。
そして激痛で起きて、
さらに入念なストレッチで
腰は崩壊した。
馬鹿だな、って思うだろうけど
経験がないってそういうもんさ。
もうどういうのがまずいかは
良くわかったけどね。

で、まずいことが3点。

2つの会合を棒に振ることになった。
今日は河合の青壮年部の忘年会。
今年ぼくが部長ということで
いろいろとみんなに新しい活動で無理をかけた。
それをねぎらうためにも
出席して酒を飲みかわそうと思ったけど、
それはかなわず。。。
そして明日も、会議。
県青協のリーダー研修会だ。
埼玉の全青協の理事をお呼びしての研修会で
僕もずいぶんと準備に力を入れてきたのだけど
このままだと出席できそうもない。
トホホ。
あと一点は、
今週は国際開発学会の大会で妻がいないってこと。
家事をしないと娘が飢える。
痛い腰を抱えながら、これもこなす。

でも悪いことばかりじゃない。
痛いのは仕方ないけど、
こういう境遇はとても思考に大きく影響する。
モノの見方も痛みがある時とない時とでは
ずいぶんと変わるんだって解った。
なんだかね、自分がそうされたいからなんだろうけど、
とにかく優しい思考になる。
兼業農家なんて全員退場で
規模拡大の強い農業だ!なんて
思っていたけど、
今はそれをきちんと論破できる自分がいる。
コトラーの「資本主義に希望はある」を
読み進められたのも影響しているんだと思う。
人は誰でもすぐに弱者になるんだって
どうして感覚が伴わないと
分からないんだろうね。
この想像力の欠如が
たぶん今の僕らの社会にあふれているんだ。
虚勢と強がりと、そして焦燥感。
それって孤独と不安が生み出すんだろうね。
だから分かっているかもしれないのに
目をつぶって、それを見ないようにして、
無いものにしようとして、
歴史も修正主義に走ってご都合主義的に
場当たり的な短期的経済ばかりを見てしまうんだろう。

早くいきたいなら、1人で行け。
遠くまで行きたいなら、みんなで行け。
腰が痛くて使い物にならない僕だけど、
僕はみんなと遠くまで行きたい。
こんな考えを
プレゼントしてくれた、ぎっくり腰さん。
ありがとう。
思ったより痛いけど、
思ったより恥ずかしいけど、
思ったほど悪いもんじゃないね。



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JA青壮年部の東海北陸大会があった。
青年の主張と
活動実績発表の
二つの部門でプレゼンコンペがあった。
5年前に青年の主張で出た僕が
今度は主催者側に座って
この会に参加している。
ま、人生なんてそんなもんだ。

時計係を仰せつかったので
全部の発表をしっかりと聞くことができた。
聞いているうちに、5年前の自分が出てきてしまって、
もう一度この場に立ちたい衝動に駆られた。

実情を言えば
福井市管内で発表者をお願いするのに
毎年苦慮している。
輪番制を設けて
各支部持ち回りで発表してもらっているのが
現状だ。
静岡なんて県大会まえに
地区ブロック大会まであるらしいのにね。
この温度差はなんだろう。

できれば県大会を勝ち上がって
東海北陸大会までは出てほしいと思うのだが、
なかなかそう簡単にはいかず、
ここ数年、僕の所属するJA福井市は
東海北陸大会に人を出せていない。
出ると結構もりあがるんだけどね~。

発表のために活動するわけじゃないけど
それだと本末転倒なんだけど
でもここに出てくるかどうかは
今後の活動に大きく響くということは
はっきりと言える。

僕が所属している支部でも来年は誰か
東海北陸、いや全国まで人を送りたい。
そう思った大会だった。
誰もいないのなら、僕がもう一回行くけど良い?



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少し前に地元の小学校の3年生で授業をした。
社会科の授業で、農業について学ぶ時間があって、
特別授業として僕が少し野菜について話をした。
で、今回はその小学生たちが
直接農園に見学に来た。

事前にずいぶんと先生が仕込んだのだろう。
農園に来た小学生は、まさに好奇心の塊だった。
触るもの、見るものすべてに興味があり、
どんな小さなことも見逃さないぞ!というような
そんな雰囲気に満ちていた。

ハウスの中の土を触れば、
「どうしてこんなに柔らかいのですか!?」
と感嘆の声。
田舎の子なんだから
土なんていくらでも触っているだろうに。

ハウスの入り口に石が積んであれば
「どうしてここに石があるんですか!?」
だってさ。
別に意味はないよ。

もちろんベビーリーフの畑も見せた。
これが一番の目的。
前回の授業でもベビーリーフの話をしたし
先生からもベビーリーフ中心でということだった。
生徒たちはここでも好奇心に満ちていた。
試食で渡したルッコラは
奪い合うように食べ合って、
そしてその大人の辛みにほぼ全員が
「から~い!」とのたうち回っていた。
ははは、その良さが分かるまでには、
もう少し先かな。
それまではいろんなものを食べて、
もっと多様な味覚を身につけようね。

その後は質問攻めに会い、
予定時間を10分もオーバーし、
「休み時間が終わる前に学校に戻るぞー!」
と先生を先頭に走り去る生徒たちを見送った。
最後の最後まで
好奇心だった小学校3年生。
湧き出るような好奇心と質問。
防草シートを突き破って、
勝手に生えている草を指さし
「どうしてこの草をここに生やしているのですか?」
という質問までもらった。

どんな事前学習をしたのか、
全く見当もつかないけど
とにかく飽きやすい子供たちが
最後の最後まで好奇心の塊だったことに
驚きだった。
学びは教室の外にもあふれている。
まさにその通りだと思う。
それを感じ取る力を伸ばしてあげることが
教育なんです、と
走り去る先生の背中が僕に語りかけていた。
全国一番の教育を誇る
わが県の実力を見せつけられた、
そんな見学会だった。
先生、お見事でした。



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今年もJICA北陸とコラボでイベント。
北陸3県の学生さんと5回シリーズで
JICA北陸が国際協力について勉強する
JICA北陸キャンパス。
その4回目が農園たやでのワークショップだ。

前日まで東京出張で
前夜は勉強会&懇親会で
イベント当日も朝の配達があってなかなか
分刻みの日程の中でのワークショップだった。
でもでも農園には心強いスタッフが
たくさんいて、
高ちゃんとすーちゃんの両名の大活躍で
なんとか学生さんが来るまでに準備は万端だった。

さてワークショップ。
午前中は農園を散歩がてらに見学し、
研修棟で僕とスタッフ、
そしてインドネシアの実習生たちが
それぞれにプレゼンしてインプットは終わり。

お昼ご飯に農園の野菜で作ったカレーをみんなで食べて
すーちゃんの独特の雰囲気を前面に出した
クイズ大会で和んだところで
ディスカッションに入った。

国際協力とインドネシアの2つがテーマ。
それぞれのテーブルに分かれて
ディスカッションを行った。
僕は国際協力を担当。
学生さんに興味関心ごとを
紙に書きだしてもらって進めたのだが、
その中でも印象に残っている質問が
学生のうちにやっておく必要があることは何か?
ってやつかな。
国際協力の現場で働きたいと思っている
学生さんもちらほらいて、
そんな学生さんはやっぱり
何をどうすればいいのか具体的な道筋のない
この業界の入り口あたりでいろいろと悩むようだ。

この答えは、僕は明快に一つ持っている。
海外を旅行すること。
そして都市じゃなくて、観光地でも無くて、
村へ向けていくこと。
できれば陸路や海路で国境を超えること。
その経験をぜひ学生のうちにしてほしい。

国家が国家としてあたりまえには存在しないことを
都市から農村にかけてのグラデーションの中で
感じ取ることができるし、
貧富とは何かを意識することもできる。
何が裕福で何が貧しいのか、
目の前につぎつぎに飛び込んでくる情報に
いっぱいいっぱいになりながら考えたらいい。
そして、
ゆうゆうと国境をいったりきたりする人々との交流を通じて
国って何かを考えたりできる。
その中であえて「国際」という意味を
考えてみようね。

社会人になると
ピンポイントでミッションをこなすために
目的地に行くことが多い。
わざと時間のかかる経路を通ったりしないもんね。
直接首都に飛行機で着き、
そこから目的地まで車や電車や飛行機で
直行するのが当たり前になる。
でもね、現地の人と一緒のスピードで
動かないと現地のセンスって磨けないんだよね。
これができるのは学生の間だけなんだ。
空気感というか、現場の雰囲気というか、
そんなものに触れながらセンスって磨かれるんだ。
僕は、
二十歳の誕生日はタイとミャンマーの国境で迎えたさ。
大学の卒業旅行は
ベトナムを鈍行の列車と自転車で往復縦断した。
あの経験は今も大きな財産となっている。
そして、あの時に苦しんだこと
見たこと、聞いたこと、食べたこと、怒ったこと、笑ったこと
それらが次につながる大きな財産になった。

だから学生さんに伝えたい。
ぜひ人のスピードで海外を移動してみてほしい。
そして、
ぜひその境目に生きる人たちを見てほしい。
そうすれば、境目というもの自体が
勝手に創造して固定化した概念に過ぎない
ということに気が付くだろうから。
そこから見える「国際」協力は
また違った世界が広がっていると
僕は信じている。



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たまに思う。
協力隊の人たちって
結構有機農業を現地で広めているけど、
それで定着したって場所
あるんだろうか?ってこと。
こんな風に書くと
あっ田谷、また意地悪言う気だな?
と思われるかもしれないけど、
僕もその端っこくらいで
そういう苦労をしてきたし
今もしているからそう強く思う。
僕の場合は、有機に限らないし
問題の根っこは、
それが有機だからとかじゃないとも思う。
それが野菜栽培でも一緒さ。
ま、野菜栽培だと定着している場所もあるだろうね。
ある一つの条件だけをクリアーすれば
これらの定着率は
驚くほど高くなのだから。

Facebookは便利だ。(ちょっと皮肉)
見ようとも思わない情報が飛び込んでくる。
で、その一つが飛び込んできたとき
僕は上記のような問いに覆われた。
それはこんな記事だった。
『月収500円の家庭も! 有機デモファームは収入向上をもたらすか?』

協力隊の方が書いたようで、
詳しい状況がわからないので
この件を批判することは避けようか。
でも有機農業を推進して
それがその現地で定着したという事例を
僕は不勉強なのか、知らない。
もしあれば教えてほしい。

健康や栄養改善に良いとか、
肥料代が削減されるとか、
そんな話が多い。
たぶんそれだけ住民目線で
考えられているからなんだろう。
でもこれまでずーっとここ8年ほど、
インドネシアの実習生と
ビジネスプランを立てて思うのだけど、
住民目線で新しいビジネスって生まれるんだろうかって事。
記事にもあるように収入が500円だなんて
インドネシアでもざらにある。
それはどうにかしたい。
大都市では日本と変わらない、
いやそれ以上の収入の人もいるのに
農村部ではそうならない。
いや、農村部でも貧富の格差がひどく、
どうすれば社会全体に行き渡るような
社会起業的ビジネスになりうるのか
そんな不毛としか思えないことに
何年も付き合っていくと
寄り添った住民目線では、
そんなビジネスって生まれるのは稀なんじゃないかって
当たり前かもしれないけど
今さらながらに気が付く。

僕の用意している実習生への授業で
地域開発論ってやつがある。
いろんな産地を構造的に分析して
その産地や事業の成り立ちや成長の経緯を勉強しているが
そこにはやはりかならず外部の強い影響がある。
途上国と言われる国々の農村部は
どんなにIT技術の普及によって
情報の偏りがなくなってきていると言っても
まだまだそれは偏ったままだ。
住民にその発想は生まれるのか?
と授業をしていて良く思う。
だからといって僕にも浮かばないのだけどね。

住民の思考の枠内で
健康に良くたって
肥料費を削減できたって
それが市場から評価をまっとうに受けないと
やっぱり変わらない気がしている。
人間の思考だと
経費削減なんてことよりも
収入の増大の方が大事さ。
体に良いことも、
ストイックな一部の方だけが続くだけで、
たいていの人は
ダイエットした方が良いと分かっていても
運動した方が良いと分かっていても
お酒やたばこをやめた方がいいと分かっていても
続かないもんね。
あと、
真っ当な栽培が出来れば高く売れる
というのは神話だ。
ポストハーベストの問題を解決してこそ
より高い品質や高い収量といった
栽培改善にベクトルが向くから
そこから栽培の技術が必要になるのであって、
入り口に栽培技術があるわけじゃない。
コールドチェーンや販売流通網が大切なんだ。
そんな販売ルートなんてないよって
みんな言うよ。
そりゃそうさ。あれば、もうどうにかなっている。
そのルートを整えれば、
というかこれが一番困難で
もっともややこしくて、
だから成功すると大きいのだけど
当然リスクも高いと思われる
このルートを整えれば、
新しい産地や事業が生まれるはずだ。
市場から直接刺激が農民に送られてくる
そのルートを整えれば、
必ず定着するはずだ。

今、日本では
輸出が少し盛んだ。
円安も少し影響しているし
途上国の大都市には良いモノを良いモノと判断する市場が
増えてきているのも要因だろう。
ただ皮肉なことに国内にはその流通網が無く
断絶されている。
その代わりに
遠く日本から運んだ方がより速く
しかもより新鮮に届いたりもする。
それだけ流通チェーンがつながっていることや
そこの技術、そしてそれらが
その商品のプレゼン力を高めているからだろう。
だとしたら、
僕らの実習生が帰国後に
そのチェーンに乗っかって、
自国で安全でしかも早くてより新鮮でより安価で
モノを提供できないだろうかと考えるのは
SFだろうか?
有機農業の定着は、
だからその先にあるのがごく自然で
その市場が醸成されるから
その産地や事業も発展するんだとオモフ。

入り口に住民目線により沿った思考の枠の中で
農業技術を持ってくるのは
それを全否定はしないが、
それが正解への近道ではないような
そんな気分にいる。




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金時草を刈り倒す。
まだまだ収穫できるし
モノもそんなに悪くない。
でも秋の気候が良すぎて
葉菜類の相場は大暴落中。
そんな中、あまり食べなれない
こういう野菜は苦戦する。
売り方次第では
まだまだ売れるけど
やっぱり夏のイメージが強い
この野菜は
夏で勝負した方が面白いので
潔く刈り倒す。
こういうのも廃棄っていうのかな?

あとこのハウスも早く片付けて
2月の商品が手薄なころに
出荷できる別の何かを播いた方が良いしね。

金時草刈り倒す作業を終えると
これでまた今年やらないといけない作業が
一つ減ったことになる。
もう気分は年末へと
向かっている自分に気が付いた。

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土曜日は愛知の一宮に居た。
今の愛知の県青協の委員長である
加藤秀明氏に会うためだ。
今年のJA福井市青壮年部の役員研修会は、
面白い人に会いたい、と
常々思っていて、
そこで全青協で出会った
この人、加藤さんに会いに行こうと決めていた。
だが、参加人数は振るわなかった。
いつもは6月に行う役員研修会だったが
今年は僕の事情で11月にずらした。
11月はイベント尽くしで
役員さんや支部長さんの皆さんは
忙しくて日程をやりくりできなかったようだった。
これは来年への反省。
とても面白い人だっただけに
参加できなかったメンバーがいたのは残念。

さて、加藤さん。
大学後に有名なIT企業に勤めて
そんで中国へ行き、ホリエモンショックで
日本に帰ることになって
パソナの研修で大潟村に行って
農業に出会い、
愛知でイチゴと米を栽培している。
というその足跡を並列しただけでも
これまで普通の農家が歩んできたであろう
道筋からはずいぶんとかけ離れているのは
おわかりいただけただろうか。
彼自身を紹介するのは
彼のブログを参照してもらうのが一番だろう。
(リンクはこちら)

さてさて、
香港でお菓子やイチゴ作って売ったり
愛知で作って香港へ輸出したり
他にも新しいビジネスのアイディアにあふれていた。
農業構造的に彼の営農を
聞いた話だけで読み解くと、
まず一宮はベッドタウンだ。
住宅の中に細切れになった農地が点在する。
調整区域であろうが結局は、まぁ、
神門氏が指摘するように農地の転用期待と
ざるのような農業委員会の審査で
いとも簡単に農地は宅地化していた。
その中で2畝3畝という田んぼが細切れに
委託され、集積はままならない状況らしい。
地域では彼の次に若い農業者が67歳という。
作業受託のオペレーター間での農地の
調整や集積を図ろうと思っても、
高齢化した次に若い農家は、
昔から覚えた場所が良いと言って
調整には乗ってこない。
用水にも問題がある。
1週間のうち水が回ってくるのが2.5日。
なので稲の品種も水のまわってくるのに合わせて
奥手品種を作付けしている。
東海道新幹線に乗っていると一宮あたりで
11月ごろに一面に黄金色していたのは
なぜだろうかと常々思っていたが
そういう理由もあるようだ。
こんな状況下では
まぁ、米では大規模経営の
国際価格との競争といった未来図はないね。
こういう面では、北陸の平場は
ぜいたくすぎるほど土地改良は進んでいる。
ただ羨ましいな、と思ったのは
巨大消費地が近いこと。
県全体で80万人を切る超高齢化の地域と
一宮とでは別次元だ。
空港1つない県と
国際空港を持っている県の違いも
別次元だ。
もちろん国際拠点港湾もあるしね。
この条件だと輸出も楽だし
意識のはじにそれは存在してもおかしくない。

イチゴ自体は一宮では
誰も作っていなかったということで始めたらしい。
それと際立っていたのが
施設や農機にお金をかけないことだ。
安く譲ってもらったり
自分で作ったり。
なるほどな、と思う。
自分もその時間があればそうしたいけど
結局、自分で施設を建てるよりも
業者に頼んだ方が早いからそうしてしまう。
だから僕は売り上げよりも大きな借金を
背負うことにもなっているだろうね。
借金をしないことだ、という彼の言葉はまぶしかった。
ま、これは僕には
あまり経営センスがないってことだけなんだけどね。

で、そのイチゴを輸出したり、
海外でのコンサルで収入を得ていたり、
と、そんな話を聞かされて、
青壮年部の盟友さん達は目を白黒させていたに違いない。
僕も海外に出て行って
いろいろとやりたいのは山々だが
中量(少量では無くなりつつある)多品種の
野菜栽培をし始めてしまうと
なかなか自由にあちこち行くわけにはいかない。
こういう部分は水稲は強いね。

輸出に関しては
ちょっと懐疑的。
日本がブランド化されて売れているのなら
日本から来たことに強みは出るが
もし品種的な美味さや品質の良さ程度であれば
これって簡単に他の国の産地にとってかわられるよね。
がんばってルートやブランドやそういったブームや文化を
作っても
簡単に入れ替わることは可能かもしれない。
僕らにしてみたら
インドネシアの研修卒業生の活躍の場が
輸出ブームで出来るかもなぁって思ったりもする。

盟友たちは彼のあふれるばかりのアイディアに
感心していたようだが、
僕は彼の見据える視点が気になる。
これだけいろんなこと経験してきたのに
非農家で新規参入で飛び込んできたのに
農協青壮年部が好きだという。
彼から見える彼の地域の農業の未来って
どんな風に見えているのだろう?
僕らは平場で基盤整備も進んでいて
低コスト競争に勝てる規模まで
淘汰を繰り返すのだろうけど、
そこにベクトルを向けられず
大消費地の近くで海外志向を持つ人間から
見える農業の未来図は
どんなんだろうか?

久しぶりに面白い人に出会った。
もう少し、彼の肩越しに
その視点の先を覗いてみたいなって
そう思える人だった。



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ちょっと前に
河合小学校で授業をした。
3年生の社会科の授業で。
ちょうど小学校3年生で
農業の勉強があるという。
そういえば娘も去年、そんな話をしていたか。

先生がとても気持ちのある方で、
実際の学びは教室の外にあふれている、と
静かに、でも情熱をもって話されると、
僕は協力せずにはいられなくなる。

で、簡単にではあるが
野菜の農家のサイクルや珍しい野菜などを
授業として話した。
事前に質問も考えていたようで、
質問タイムは手を挙げる競争のように
みんなが積極的に質問してくれた。
最近、こういう質問攻めに会うことって
ほとんどなかったので、とてもうれしいね。
高校生や大学生はほとんど質問でないしね。

しかもその質問の中に秀逸なものも散見された。
3年生の考えそうな質問だと
野菜作りの楽しさはなんですか?
くらいが出てくれば大したものだと思っていたが、
中には
野菜の価格はどうやって決まるのですか?や
どうして野菜作りをしようと思ったのですか?
なんてちょっと本気で自分を振り返ってしまうような
質問もあった。
そういや、どうして野菜作りだったんだろうね。
実家がもともと野菜農家だったからという
安直な答えが一番正解に近いんだけど、
なんだかこの問いは気になって
今でも頭から離れない。

侮れないね、3年生。
先生は、
「本当は子供らが自分で農家さんを訪ねて行って調べてきて、それを教室で発表し合うのが一番なんですが、そこまでなかなか手が回らなくて」
とおっしゃっていましたが、
先生、それ、大学生でも難しいですよ。
意識を持って授業に臨む。
これどれだけの学生が出来ているんだろう。
それを実践されている地元の小学校の先生に
本当に敬意を表したい。


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インドネシア実習生への授業が
僕のオアシス。
僕が僕であり続けられる場所。
それは
現実から乖離した事象に
悩む毎日に疲れているからか、
それとも僕は自分のアクセルを踏み続けて
加速しているからか、
最近よくそう思う。
さて今日は、
グローバリゼーションと農業の授業。

TPP大筋合意し、
それに伴い青壮年部を束ねる立場にあり
何かと意識と議論を持っていかれる日々と、
なぜだかこのタイミングで
幕末にはまっている新人すーちゃんに
尊王攘夷を説きながら
開国に無理やり回天させてしまうという
荒業続きの
幕末の歴史を仕事しながら語っている日常と、
そして目の前にいるインドネシア実習生の
その存在そのものがグローバリゼーションだという現実の
すべてがクロスオーバーして、
最近、この授業が自分でも好きだ。

前置きが長くなったが、
今回のお題は、久しぶりにこれを取り上げた。
「おいしいコーヒーの真実」。
ちょうど前回まで従属論を
軽くおさらいしたところだったので、
この映画が一番面白いだろう、と思って
お題にした。
詳しい内容にはここでは触れない。
昔書いたリンクを参照してほしい
さてさて
従属下に置かれたエチオピア農民の
生きる道はどこにあるのだろうか?
長く伸びたサプライチェーンを断ち切ることか?
農家たちにコーヒーの技術を引き寄せることか?
フェアなトレードに望みをつなぐのか?
こんなコーヒー産業から抜け出して
他の仕事を探すか?
まず、こういう疑問が沸く。
従属下に置かれた状況に
僕ら
(こういう映画を自国語で自由に見られる状況)は
従属の構造を易々と見つけることができるが
そもそもあちらの農家はそのような
構造をしっかりと従属として認識できているのだろうか、
ということ。
これに立ち向かおうとした実習生もいた。
4期生のクスワントだ。
彼の発表はこちらのリンクを参照してほしい
彼は卒業研究を通じて、
途上国の農民が日本で売買されている自分の栽培品目が
どのようなサプライチェーンの中で
価格と価値を上昇させていくかを体験した。
これ自体はとても大きな成果で
今でも彼の発表が卒業研究発表の中で
一番だと評価している。
だが、
大きな構造はたとえ認識できたとしても
それを変える力は到底ひとりじゃ無理さ。
みんなの力を合わせて!と月並みなセリフを吐いたとしても、
社会的ジレンマの問題で
そうそう社会も民衆も動きはしない。
コーヒー農家が安くてもすぐに現金化できるほうが
良かったりもするのは
なにも途上国に限った心情でもない。
サービスの全体を農家全員が知ることができれば
そういう力も生まれるかもしれない。

話はちょっと違うかもしれないが、
安保法案だって国会を通過したけど
あれだけのデモの経験は僕らの中にしっかりと沈殿した。
だから、「次」が楽しみだと僕らは今思えるのも
全員があれを経験したからだろう。
でもそういう力が
マージナルに置かれた農家に持ちえるだろうか。
みんながタデッセと同じ視点で
世界をのぞけるだろうか?
クスワントのように
丁寧にサプライチェーンを先進国の
最終消費者まで追えるだろうか?
それと同等の刺激を
僕ら農民が受けて、
社会運動につなげられるのだろうか?
いつものことだが
議論を重ねても答えは見いだせない。
でも、仕組みは分かる。
そのチェーンから
つまりは市場から刺激を受けることが
出来る立場と場所が必要だということだ。
情報が偏って存在する中で生まれる従属構造を
平準化するグローバリゼーションは
それも見逃さないのだろうか?
通信手段とネットワークが
徐々にそれを追いつめることができるのかどうかは
分からないが、
僕らがこう考えることに
意味はあるんだと思いたい。

昔の仲間だった
高橋和志が編者を務めた
『国際協力ってなんだろう』という本に
貿易自由化で競争力のない産業は不利益を被るため
所得減少や失業などを緩和する措置を設け、
そうした人々が競争力ある産業への転職を促す必要があると
書かれていたが、
それ自体は僕も間違っているとは思わない。
それが小規模の家族的農業だってことも良くわかっているさ。
先進国や途上国という経済の違いによって
その波の大小とその破壊される力の構造的な違いはあるが
ほぼすべてのそういう農業経営体がやられていくのも分かる。
価格競争で負けるか、従属関係に置かれるか。
長くグローバルに伸びていくサプライチェーンの中で
僕ら農民はガルトゥンがかつて従属論のモデルとした
グローバルな世界のつながりは
途上国と先進国の農家の衝突を生み出すとしたが、
実はそれぞれが直接的に衝突するのではなく、
それぞれが構造的に衝突下に置かれるように見えるだけで
それぞれが戦っているモノはそれぞれに別であるというのが
僕の意見だ。
だから、僕はインドネシアの農民とつながる。
その構造下でも、僕らが協同できるように。

授業では答えは、いつも出ない。
でも考える方向だけは一緒に確認する。
どうにもならない構造だとしても
こうした小さいつながりが
少なくとも僕らの周りだけでも変わらないかなぁという
期待を込めて。




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11月だ。
あと2か月で今年も暮れる。
あと少し。
そんな風に思うことが多い。
きっとそれは
ちょっと疲れているから。

今年は自分の能力に比べて
役職が多すぎた。
それは素直に認めよう。
これまでミスなくこなしていた予定だったが、
ここに来て、その存在を忘れていたり、
他の方に頼んだかもしれない行事に
自分が行ってしまったり。
ミス連発中。

そして今月。
東京1回、愛知2回の出張と
役職での自分主催のイベントが2回。
リーダー研修会や組合長と語る会など。
あっ、あと忘年会も数回ある。
農園で団体受け入れの大きなイベントが2回。
えー、会議多数。打ち合わせ&面談多数。の予定。
アンビシ勉強会はJAの指導員がやるから
とても楽しみで、それは這ってでも行くけどね。
多分、5月の死のロード以上の死のロードだね。

あと2か月。
最近の僕はそれを唱えながら
前のめりに倒れるように進んでいく。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

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