研修1年生の2人は、
今日で1年が過ぎたことになる。
なんだか早い気もするし、まだあと2年もあるのかと
思うこともある。
その2人が最近、なかなか面白い。
人が変わりだすのって、
やっぱり1年や2年は必要なんだろうな。

今回は、カダルスマン(通称:ダルス)について書こう。
彼は、今までのメンバーのように
農業に対する深度がそれほど深くは無かった。
知識自体もそうだが、
もともと農業に対する思い入れ自体も
若干薄い感じがあった。
彼の生家には、ほとんど土地が無かったし、
父親もミニバスの運転手だったりで、
農業とは無縁の人生だったのも
影響しているのかもしれない。
高校は農業高校に進んだものの、
卒業後の就職先は服飾関係だった。

そんな彼が、
毎月提出する月間レポートで
将来の夢として書いてくるものは、
どこか的外れなモノが多かった。
地域のリアリティをちっとも感じない、
ちょっと前に流行った
ブループリント型の開発プロジェクト案を
見せられているような、
そんな感覚だった。

自分の父親が祖父から相続した土地は、
水田ではなく、山肌の土地。
しかも、猫の額ほどの土地。
彼は当初、
「トウガラシ栽培をしたいです」
と言っていた。
これインドネシア人の定番の文句。
福井で新規就農者が何も考えずに
ホウレンソウやトマトをしたい、というのと
ほとんど同じ感覚。
ダルスの理由は、
「それはみんなが毎日食べるからです」だって。
当然、そんないい加減な答え方をしていると
僕に突っ込まれまくりになる。

サンドバッグになりながら、
次に彼が考えたのが、
精米所の運営だった。
「土地が無いけど、田圃の多い村なので、精米所を作って経営したいです」だって。
これは僕が突っ込む前に、
上級生から、
その地区に精米所が無いのか?という質問に
ダルスは
すでに大きいのが3つあります!
と元気よく答えて、またもサンドバッグに。
日本のような乾燥機が無いところが多い
インドネシアの精米所の場合、
一番確保しなければいけないのは、
天日で米を乾かすための日当たりのよい土地と
米を運ぶためのトラックだ。

僕がスラウェシの山奥に住んでいた時に、
ホームステイ先の家族が、
マレーシアの出稼ぎの大金をつぎ込んで
精米所を作ったのだが、
山間だったため、
天日用の広い土地の確保ができず、
精米機械の能力をフルに活かせなかったという経験がある。

また日本と違って、
インドネシアでは小規模の場合、
精米業者が米を確保するために
自ら運搬をしないといけない。
だから小さくてもトラックがないと
精米所は全く機能しない。

土地なしのダルスが
精米機と米を運ぶためのトラック、
そして天日用の広い土地を確保できるのだろうか。
研修で貯めたお金では、
たとえ精米機は買えても、トラックや土地まではとても無理なのだ。
3つ揃わないと、精米所としては機能しない。
しかも、むらの中にすでに稼働している精米所が3つある。
人口は増えても、土地は増えないジャワにとって
今後米の生産量がどんどこと増えていくことは
想像しがたい。

そんな突っ込みを受けて
ダルスは今月、別のプランを考えてきた。
それは『バナナ』。
バナナ栽培を行い、
生のバナナやバナナチップスなどに加工して、
ローカルマーケットに販売するというもの。
彼の家族が持つ斜面の土地は、それの栽培に向いているし、
気候も申し分ない。
加工に必要なバナナは、自分の土地では足りないので、
地元で確保するという彼の姿勢も共感できるし、
それなりにリアリティがあった。

僕は、バナナについてほとんど知らない。
生産構造やローカルマーケットのキャパシティ、
品種、病害虫、土壌条件、そしてその歴史。
そのすべてに無知だ。
ただ知っているのは、
コーヒーやエビ、そしてお茶と同じく、
バナナも従属した市場構造に置かれた品目の一つだということ。
グローバルバリューチェーンの大きい流れに、
生活と生産の変容とマージナル化をゆだねる産業だと言うこと。
これからダルスの肩越しに、
インドネシアのバナナの風景をしばらく眺めようと思う。

まずは、価格とローカルマーケットと
個人の経営レベルで必要な面積、
そして生産様式。
フィリピンのような協同組合型かつ
プランテーション型なのか、
それともインドネシアはバナナ輸入国なのか、
そして、巨大市場とローカルマーケットの
2重構造は存在するのかどうか。
その辺りから一緒に勉強してみようと思う。



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JA福井市青壮年部の総会に出席する。
今年から、高屋集落がある河合地区の
青年部副部長になった。
役員として出席するという意味もあったし、
さらには、副部長になったばかりで申し訳ないのだが、
さらにJA福井市青壮年部の役員にも、
今回の総会で承認されて、なることになった。

2年前の青年の主張で、
青壮年部の方々には大変お世話になった。
その時、発表で応援してくれた
盟友の方々にご恩返しがしたい、
と常々思っていたのだが、
今回、巡り合わせが良く、
とんとんびょうしにJA福井市の青壮年部役員を
務めることとなった。

総会で会場を見渡すと、
青年というよりも壮年の方がどうしても多い。
農村の高齢化は、
そこに根を張った青壮年部にも
ダイレクトに影響するのは当たり前か。
古臭いイメージだったり、
メンバーの高齢化だったりして、
関わる若い人が少なくなっているんだろう。
けっこうオシャレで斬新な
社会とのかかわりを持てる組織や機会は、
今、割と多いもんな。

地域発展というキーワードにおいて、
長年、地域と共に歩んできた組織にかかわる大切さを
僕はもう少し主張したい。
それが風土の「土」の人間の関わり方だと
僕は思っている。
青壮年部は、その昔、
父もこの組織の部長として大いに関わっていた。
僕はその時、高校生だったので良く覚えている。
親子で時を超えて関わることが出来る組織。
そんな関わり方が出来るのも、
地域に根差した組織や
「土」の人間としての醍醐味なんだと思う。

やや多忙な毎日だが、
これからは、しばらくこの場で、
地域やそこで活動する人達に
目を向けていきたいと思う。


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気が付けば、もう2月。
それも来週は、3月。
1月は行く、2月は逃げる、3月は去る。
まさに、そんな感じ。

今週、立て続けにインドネシア研修生の座学が
今学期分が終了した。
今学期(10月~2月)は6講座があり、
その内、僕の担当は4講座。
今回は、その内の農業とグローバリゼーションの記録。

この講座では、ドキュメンタリーDVDを見ながら、
ディスカッションをする形式だ。
今回見たDVDは5作品。

①あぶない野菜
これは以前エントリーがあるので、
詳しくはそちらに譲りたい。

②コーヒーの秘密
従属論的な視点で描かれているドキュメンタリー。
作る人と飲む人がどう付き合っていけばよいかを
考えさせてくれるDVD。
あぶない野菜には無かった、
バリューチェーンの分断を
どう結び直すかと言う視点も含まれる。

③ダーウィンの悪夢
こちらもばりばりの従属論的視点。
市場原理を前面に出した
発展のイメージで創りだされた
援助と市場が、どう社会を変容させていくか、
という好例と言えよう。
貧乏人(国)は、少ないチャンス以外は、もっと貧乏に、
お金持ち(国)は、そのチャンスを活かしてより豊かに。
なんだか、そんな絵が僕には見えた。

そういえば、このDVDが出てから
ナイルパーチと書かれた白身フライは見なくなったなぁ。

④水は誰のものか?
ハーディンの共有地の悲劇的DVD。
資金力のある企業が水を独占する話と
輸入と言う形で水を独占しているという
バーチャルウォーターの話。
限りある資源をどう皆で分配し合えるのか。
そんな知恵が僕ら人類のあるのかどうかは解らないけど、
考え続けることに意義がある。

⑤お米が食べられなくなる日
日本のお米事情のDVD。
世界との比較では、生産コストが高いくせに、
国内の他産業と比べると収入が驚くほど低い。
時給換算で、179円だというからびっくり。
労務局も黙っていないような労賃だ。
増産への技術革新と減反政策、
そしてTPP。
歴史と生産様式から見た
世界中のバリューチェーンを
先進国側からも考える一例として
研修生たちと一緒に見た。

179円の時給を研修生たちは、
「インドネシアだったら、農業の分野だとまだまだ高いですね」
と言っていたのが、印象的だった。

国と地域が交流をし、
お互いが刺激を受けながら変容していく。
その変容の中で、
時には格差が生み出され、
誰かはマージナルに置かれる。
しかも、それに見舞われるのが
少数ではなく、多数派だったりもする。

そんな不思議な秩序をもったこの世界。
そんな世界が見えてくれば、
この授業も意義があったと言えよう。

2週間後に最終試験。
それぞれの地域で、上記のような
日常に埋め込まれたグローバルな事象を探し出し、
その問題と解決に頭を悩ましてもらうというもの。
正解なんて無いだろうし、
当然、青臭い議論のやり取りになるだろう。
15分のプレゼンをそれぞれが
どんな風に作って来るのかが楽しみだ。


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勉強会の記録。
2月13日(水)のプレゼンは、
農園たやの中心メンバー、大西の順番だった。
農業外の分野から飛び込んできた彼の視点は、
僕とは全く違うので、刺激的でもある。

彼の選んだ本はこれ。
イヴォン・シュイナード 著 「パタゴニア創業者の経営論」。

パタゴニアの創業者が、
その経営理念を語る本とのこと。
製品デザインから顧客イメージ、製造、流通、財務、人事、
さらには環境に至るまで、
企業理念が事細かに記されているとのことだった。
とくに顧客のイメージまでも記されているという点では、
驚きもしたし、
逆に、そんなイメージまでも必要なのかと
弱冠の疑いも感じた。
ターゲットを絞るというのは必要だろうけどなぁ。

パタゴニアは徹底した環境配慮型の企業だという。
オーガニックコットンをいち早く使用し、
ペットボトルから服を作り出したのも
パタゴニアが最初だったとか。
シンプルな生活を志向する大西君は、
このパタゴニアの方向性に強い共感を覚えているようだった。

イメージをお客さんに伝えるという点で、
パタゴニアは徹底しているようでもある。
会社が環境に配慮しているというのが、
それを着る人間にとってステータスになっているのも事実だ。
作り手の情熱を如何に伝えるか、
その部分においては、パタゴニアは成功しているのだろう。
大西君もその「伝える」という部分に共感した
プレゼンをしてくれた。

では、「伝える」という力はどこから生まれてくるんだろう。
ここからは僕の独り言。
僕ら人間は関係性の中で、
その個性やパーソナリティを創造・共有し、
そのモノの存在を証明している。
個として立っていることはない。
伝える力は、受け取る側の受け取る力があって、
始めて生まれてくる力とも言えよう。

パタゴニアの顧客イメージは、
受け取る側のイメージ。
明確にされていればいる程、
受け取りやすく情報を加工することは可能だ。
たぶん、その作業は大企業だけに必要なことなのかもしれない。
僕らにとっては、
部分的で限定的ではあるが、
野菜を買ってくれる多くの人と
メールと電話とネットとそして実際に顔を合わせて
付き合っている。
こういう小さい社会活動のネットワークでは、
顧客のイメージはあまり必要なく、
目の前にいる人がまさに顧客であり、
その千差万別の関係性の網目が、
僕らの持つ顧客イメージに
常に変化を生み出し続けてくれる。

環境配慮と言う言葉を一つとっても、
必ずしもオーガニックコットンや
ペットボトルから作る服が、
環境やそれを取り巻く人々の福祉向上に
つながっているかどうか
実際に僕らは確認を取ったことはない。
だのに、それらが環境配慮として
イメージされる僕らの認識とは、
サプライチェーンが伸びきった中で、
キャッチーなイメージで限定的で、
かつ、受け手に「痛くない」&「混乱しない」情報として、
千差万別無く、あるassumptionに支えられているからだろう。
農業で言うなら「有機農業」や「自然農法」なんかも、
それに当てはまるような気がする。
それの中身を真摯に研鑽している人達が
実際にいることを僕も知っているが、
受け手として、その中身を精査することは
あまりないようにも思う。
『リスクのモノサシ』という本で解説されていた
信頼の周辺的ルート処理が、たぶんこれに該当し、
その精査なしに、すんなりと受け入れやすく提供することが
たぶん、情報の溢れたこの世界(10年前の500倍の情報量)を
無事に泳ぎきるための術なのかもしれない。

大量に売れる=社会のassumptionに合致する、
そんな社会構図は、やっぱり気持ち悪い。
(世の中には、そんなことが氾濫してしまっている)。

ますますマクドナルド化する社会において、
24時間では足りない時間と情報量の中で、
僕らはどう対話の場を作り出せるかが、
課題なんだろう。
食の根源でもあるこの農業において、
作る側と食べてくれる側とが、
生活に質を高められるような関係を
どう作って行けるのか。
そこが、僕らの「伝える」力であってほしいと
僕は思う。


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先週から妻がフィリピンへ出張している。
3週間の出張だ。
長期と呼ぶには短いのだが、
だからといって「短期」と呼ぶと、
父と娘の日々の生活の苦労が少ないような気もして、
なんとなく抵抗がある。
「中期」とでも呼ぼうか?
兎にも角にも、3週間の出張だ。

妻は、通常でも週の半分以上は、県外の職場で仕事なので、
3週間と言っても大したことないだろうと高を括っていた。
が、実際はちょっと大変。
週の半分以内といっても、
毎週必ず家に戻ってきていたので、
家はきちんと片付いていたのだが、
それが戻ってこないとなると、まず家がモノであふれてしまう。
僕がいい加減に片づけるものだから、
さっそく娘の学校の教材を一つ無くしてしまった・・・。
(たぶん、どっかの引き出しにはあるはずだけど)。

次に、食事。
僕も料理は出来るのだが、
どうしてもワインの当てになりそうな料理しか作れない。
好き嫌いの多い娘(小学校1年生)の口に合いそうな、
かつ、僕でも作れそうな料理のレパートリーは、
3日分くらいしかない。
今まではそれで良かった。
だって、週末には必ず妻は戻ってきて、
献立が変わるからだ。
それが戻ってこないとなると、
僕の少ないレパートリーの
ヘビーローテーションに陥ることになる。
すでにカレーライスとハヤシライスという
立て続けにしてはいけないメニューが
立て続けになっている状況だ。

さて、今晩は何を食べようか?
そんなことで朝から頭を悩ます。
世の中の主婦(主夫)は偉大だ、と心からそう思う。



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青年海外協力隊に参加したい!と言って、
うちの門をたたいた北野君が来てから始まった、
妻・小國の開発の勉強会。
その第2弾が、先日我が家で行われた。
今回は、僕は一切しゃべらないことにした。
前回、やはり僕がすこししゃべりすぎてしまったので。

ちなみに、
農園の野菜をふんだんに使った妻の手料理を食べながらの
ちょっと贅沢な開発の勉強会は、
うちの農園で研修をする人のみのプレミアム。

さて、
今回は、前回の感想をベースに
けっこうフリーな感じでのディスカッションだった。
チェンバースからも随分離れた感じで、
協力隊OBの佐藤君の経験談を事例に、
話が進められた。
今回の議論の中心は、「仮説」だったように
僕には思えた。
何か行動を起こす時(もしくは何かを考える時)、
僕らには必ず「仮説」が前提としてある。
どこまでを仮説と呼ぶかどうかは、
曖昧な点も多いかもしれないが、
「事実」だと思っている事でも、
その認識は個人的なもしくは
共同で想像されたものでしかない。
ある限定的なコミュニティや範囲を指定しての
共同で想像された「事実」であれば、
その中でそれはある程度「事実」なのだろうが、
現場では、その分断が多いから問題が発生してくる。
いわゆる認識の違いってやつ。
異文化なら、なおさらだろうな。

農業技術普及において、モデル農家育成のプロジェクト化は、
その技術の普及に有効な手段かどうか?
というお題をみんなで議論していた。
この仮説満載のお題に、
北野君は有効だと言う。
「失敗も沢山あるとは思いますが、成功事例がある限り『あり』だと思います。」
と答えていた。
僕も参加したくてたまらない議題なんだけど、
一足飛びに議論を進めてしまう
悪い癖があるので、
娘と遊びつつ、聞き耳を立てて我慢をしていた。
こうだ!と思ったことの多くが仮説にすぎず、
しかも現地の住民とカテゴライズしても、
そのなかに多様なアクターが、それぞれに仮説を抱いているという
状況が目の前に現れて、
北野君も佐藤君も、ディスカッションの中で
身動きが取れなくなってしまった。
じゃぁ、一体、どこから活動を始めていいのだろうか、と。
この辺りで時間切れ。
続きは、妻が長期海外出張から帰国してから。
宿題は、活動をどう始めるかをそれぞれが考えるというもの。
それぞれが思い悩むだけ、
思考が深くなるのが解る、そんな勉強会だった。


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食べよう会(2013春)

3月16日に「農園たや」にて、
野菜のBBQイベントを開催したいと思います。

参加希望の方は、下記のホームページの
お問い合わせからご連絡ください。
http://www.nouentaya.com/inquiry/

インドネシア研修生の生演奏や
スタッフたちのギター演奏もあります!
僕たちのこだわり野菜を食べながら、
美味しい&楽しい食のあり方について、
みんなで意見交換しましょう。

定員は40名です。
申し込みはお早めに~♪

関連記事
さぼりがちな勉強会の記録。
今回は、2月6日の記録。
脱サラして、うちで研修を受け、
なんとか農家としてやっていけるよう
汗かきべそかきしている林君の発表。
まとまりのある良い発表が多いので、
彼の順番の時は、皆さん、来た方が得ですよ。

さて、本はこれ。
高田靖久 著 『「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい!』:90日でリピート率を7倍にアップさせる簡単な方法


とてもキャッチーな題。
こういう題をつける本の多くは、
100回客に育てる論理よりも
手法やハウツーが先行しているような気もするが、
リピート客を増やしたいと思う、
僕ら直販志望農家にとっては、
その題名だけで、買ってしまいそうな本。

林君のプレゼンでは、
高田氏曰く、顧客の囲い込みは、4つのステップに分かれているらしい。
①新規顧客を集める
②客を固定化させる
③客を成長させる
④客を維持する
の4つ。
で、本書ではこの内、
①と②について解説されているとのこと。
③と④については、高田氏の姉妹本があるので
そちらで解説されている、という。
うーん、読み手からして本のリピート客にしようという
その商魂には参った。

本書では飲食店をイメージした解説が行われていたが、
1回きりのお客は、7割にも達するとのことだった。
そしてその多くが、ただ単に忘れているだけ、でしかない。
そのためリピート客になってもらうには、
リマインドが大切だという。
何度となく送りつけるメールの手法や、
その回数や期間に必ず「3」が関係するくだりに
僕らはやや鼻白みはしたが、
それくらいのリマインドが必要なのかとも
正直驚いた。
僕個人の感想では、
僕のように毎週のようにたくさん来る
ダイレクトEメールに辟易している人間は、
そのようなリマインドがはたしてプラスになるのかどうか
やや不安でもあった。
内容によりけりな部分はあるのだろうが、
僕の場合は読まずに、すべて削除してしまうので
その点が気がかりだった。

さて、新規顧客を集める箇所では、
お客が僕らを選ばないといけない理由がない、として
その理由を明示する必要性を強調していた。
以前の勉強会でも(たしかポップの勉強)、
それを選ぶ理由をお客に気付いてもらう大切さを
勉強したこともあり、その必要性を確認できた。
販促術よりもビジョンを示すあたりも、
共感を覚える。
個々の手法では「?」も多かったが、
見せ方やこだわりの伝え方と言う意味、
また多くのお客が「ただ単に忘れているだけ」という
事実かどうかは確認できないが、
この著者がそういう視点を持って販促の切り口にしている点は
興味深かった。

農園のブログやパンフ・ホームページ・Facebookページの
情報の乗せ方や見せ方も、
少し考えなくてはいけないようだ。
まぁ、でも、あまり器用じゃないので、
僕らが眺めている農業への視線を
そのまま載せちゃうんだろうなぁ。
それだけじゃ、ダメなんだろうなぁ~、きっと。



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最近、たまりがちの勉強会の記録。
今回は、1月30日(水)の記録。
発表者は、酒井くん。
本は、
松永和紀 著 『植物で未来をつくる』。

松永和紀さんは、僕の好きなサイエンスライターさん。
論理展開に無理が無く、
難しいことを平易な文章で伝えることが出来る人。
さて、酒井君のプレゼンによるとこの本では、
遺伝子組換え技術による未来が描かれているという。
遺伝子組換え技術に対するネガティブな本は多い。
本当にそうであるのかどうかは、
僕らの知識で考察はできないが、
その技術が出てくる背景や社会の文脈は
もう少しフェアな感覚で勉強しないといけないと、
僕らは常日頃思いながら
勉強会を行っている。
○○が危ない、という論調は、
時として論理的と言うよりも心情的であったりもする。
心情的である場合、その心情を支える
僕らの価値観と常識と前提と仮説は、
時としてミトスに近い場合もある。
そこまでさかのぼっていけば、
「危ない」となっている事象の構造と文脈、
そしてそれを支える認識が見えてきたりもして
面白い。
遺伝子組換えも、賛成か反対かは別として
(ここにこだわらないことで、思考が自由になる)、
そんな社会を覗くにはとても良いトピック。

さて、和紀さんの本では、
植物が僕らの直面する問題の多くを解決してくれると解説している。
スギ花粉を治すイネや途上国で不足するビタミンを含んだイネなど、
使い方によっては、僕らの社会が抱える問題を
解決できるようなものをこの技術は含んでいる。
バイオエネルギー分野でも遺伝子組換えは力を発揮するだろう。
少ない力で多くのエネルギーを取れる植物も可能だ。
ただ代用された物質それらすべてが、
どのように自然界の中で反応するのかどうかは、
やはり不明であることには間違いない。
しかし、このブログでもたびたび書いているが、
科学哲学において、
僕はこの世の中は帰納的に出来上がっていて、
自然科学的に、社会的構築されているわけではないと思っている。
僕らの思考的なくせとして帰納してしまうのは、
それは世の中が帰納的に出来上がっているからでもあろう。
当然、知りえない情報によって、この技術が
僕らの脅威となる場合もありうるだろうが、
多くの科学者が認めているように、
組み換えられた遺伝子の脅威は、
どこかミトスに近いのかもしれない。

ただし、これだけは言える。
それは技術的な問題ではないこと。
遺伝子組換え技術は、問題を解決するのではなく、
今の社会的文脈の中で、最適化を目的として発揮されず、
最大化を目指してしまうだろう。
そうなれば、きっと今まで以上に
僕らの生活環境に悪影響を与えてしまうことにもなりかねない。
農業者として、この技術をどう活かしていくかは、
技術的問題以上に、
僕らの社会的倫理とその規範なのではないだろうか。


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ルドルフとイッパイアッテナ

娘が生まれてから、
ずーっと寝る前に読み聞かせをしている。
妻と僕のどちらかが、寝る前10分程の短い時間だが、
これだけは欠かさず続けている。

もともとは
子供を早く寝かしつける、という目的で、
読み聞かせをしてきたのだが、
大きくなるにつれて、
その時間の持つ意味や目的も少しずつ変わってきた。

赤ちゃんの頃は、
娘の絵や音の反応を見るのが楽しくて
いろんな言葉や擬音語の詰まった絵本を
読み漁った。

少し大きくなると、
簡単なストーリーがあるものを読み聞かせた。
娘の感情の変化が楽しかった。

保育園も年中になると、
短い絵本じゃ娘が満足しなくなっていた。
僕らもそういうのに飽きてきていた。
そんな時に僕が良く読んだのは、
落語や狂言の絵本。
古事記や西遊記なんていうのもあった。
ババールシリーズや
ウィリアム・スタイグもこのころよく読み聞かせた。

この辺りから、
僕はあることに気が付いていた。

これは娘に読み聞かせることで、
僕は少年時代にすっ飛ばしてしまった本との
付き合いをやり直しているんだということに。

僕は、高校に入る前までは、
今ほど本が好きではなかった。
書棚には漫画しかなく、
活字は苦手で、国語の点数も良くなかった。
読書感想文が苦手で、
本もほとんど読みもせず、長期休みの最後の日に
四苦八苦しながらやった記憶しかない。

そんな少年時代に
読まずに過ごしてしまった本の
やり直しを僕は今しているのだ。

娘が小学校に入ると
読む本もがらりと変わった。
絵本ではなく、活字ばかりの児童小説に変わった。
魔女の宅急便シリーズや
とんちのもののきっちょむさんや一休さんなどなどを
読んでいたのだが、
そんな時に、図書館で出会ったのが、
斎藤洋さんの『ルドルフとイッパイアッテナ』。
1987年に出版された児童小説。
僕が少年の頃、見過ごしてしまっていた本で、
娘と一緒にほんの海を渡る中で
再び出会う機会を得た本。

軽やかな会話に込められた
細やかな心の描写と
読む者の心にグッとくる猫の友情が素晴らしい。
度々、声が裏返り、言葉に詰まった本だった。

このシリーズもそろそろ読み終わる。
娘が催促するまでもなく、
僕は次は何を読もうか、わくわくしている。
読まずに過ごしてしまった本は山のようにある。
その本を一つ一つ味わっていこう。
どうやら、
僕はもう児童文学の世界に
すっかりはまっているようだ。

娘が嫌がるまで、
僕は少年時代にすっ飛ばしてしまった
本との付き合いを
やり直していこうと思っている。



関連記事
農園での研修をサポートする
『Yayasan kuncup harapan tani耕志の会』の
総会が、1月28日行われた。 

この団体は任意団体で、
研修の座学や研修生たちのフィールドリサーチ支援、
スタディーツアーなどを行っている。
総会では、収支報告と活動報告が行われ、
次の活動計画などが話し合われた。
収支報告といっても、
内部での会費で成り立っているので、
予算はほとんどないが、
それでも、座学は前期後期で
8講座(1講座約15回)を開催し、
あわらの朝倉梨栗園へ2回のフィールドリサーチを行い、
タタン君(3年生)の卒業研究も実りある研究となり、
それなりに充実した年度だった。

今年度も座学の充実を目指すが、
昨年度から佐藤が始めた料理教室は、
週1回から月1回へと変更することを話し合った。
毎日の作業に追われる中で、
夜遅くまで料理教室を行うことの負担と、
外部者と楽しく学べる講座へと変えるために、
月1回、土曜日の日中に行うことにした。
学生や一般の方で参加希望の方々と
野菜と料理を通じて学び合う講座になると素敵だなぁ。
土曜日なら、僕は家族で参加しようかと思っている。

視察予定はまだ立っていないが、
今年は、農園の販売先のレストランなどにも
視察に行けると良いなぁ、と話し合われた。
食べてくれる側を見に行くのはとても勉強になるのだ。
それぞれ近隣県で候補地を探すことにした。

あと、Facebookページの拡充を図りたい。
年末年始に行ったインドネシア視察で、
多くの方にネットワークづくりについて
意見交換をしたのだが、
その一つとして
この団体のFacebookページを活用できないかと
考えている。
更新内容については精査が必要なのだが、
有意義なやり取りが出来るように
無い知恵を絞っていきたい。
そう簡単には増えないだろうけど、
ファンの数を444人まで増やす、と
みんなで決めた。

最後は役員選出。
僕としては、代表は僕固定でなくても良いと思っているのだが、
今期も僕が代表となった。
佐藤君なんかが代表を務める方が、
よっぽどフットワークの軽い団体になるような気がするんだけど。

今期ではないが、
来期か再来期には、インドネシアへのスタディーツアーを
まだまだ漠然とだが、計画している。
研修の卒業生の地域を訪ね歩く旅で、
一緒にインドネシアの、そして日本の
農業と地域発展を考える旅にしたい。
またそのスタディーツアーの次の期には、
インドネシアのタンジュンサリ農業高校で、
研修卒業生や有識者を集めて、
この研修事業と地域発展を話し合うシンポジウムを
この団体で行いたいと思っている。
ちょっと荷が重いかもしれないが、
みんなでなんとか知恵を出し合って
チャレンジしていきたい。

関連記事
今年もむらのなかの役が回ってきた。
といっても、それほど大層な役ではないけど。
それは、高友会という集落の自主的青年会の班長。
昨夜は、その1回目の班長会があった。

高友会の主な活動は、秋祭りの店ばやしやステージ運営。
集落の小さな小さな祭りだが、
こういう時でもないと、同じ集落でも顔を合わさない人が多い。
小学校の同級生だって、おっさんになれば、
ほとんど顔を合わす機会なんてない。

ただ単に地理的な集まりの「むら」にみえる
僕らの集落も、こういう場を通じて、
人と人とのインタラクションが生み出す「むら」に変わる。

今年は、班長としてそれのお手伝い。
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青年海外協力隊に行きたいという
青年・北野君の研修は、始まっている。
毎日の農作業に従事してもらいつつ、
月1回から2回ペースでコミュニティ開発について
ディスカッションを行う。
今週の火曜日に早くも1回目のディスカッション。
ディスカッションでの導き役は
妻・小國和子。
JICA専門家派遣研修などでも講師を務めているので、
これ以上の適任はいないのだが、
これをタダで、しかも少人数で受けられるというのだから、
う~ん、とても贅沢。
ちなみに僕は、横でニコニコ座っているだけの役。
妻曰く、
僕は「しゃべりすぎるから邪魔」なんだってさー!

1回目までに読んでもらった本は、
ロバートチェンバースの「第3世界の農村開発」。
知る人ぞ知る農村開発のバイブル。
ディスカッションでは、これを解説するわけではなく、
これを踏まえて、状況のあれこれを話し合う形式だ。

この本を読んで、
「当たり前のことが書いてありますね」と言っていた北野君は、
ディスカッションを深めていく中で、
徐々に、その『当たり前』と言った前提と
彼から答えられた状況判断が
チェンバースの意図とは乖離し、
たまに彼自身が本の中で批判されている
『専門家』になったりもしていた。
専門家の常識をうわべだけで打ち破っても、
住民の中にある『答え』を
無意識&無批判に肯定し、
それを『目標』に換え、
それの達成のための手法と
対処ばかりが上手になるのは、
僕らの思考の癖なのかもしれないな、と
横でニコニコしながら思った。

協力隊OBの佐藤君が
いろいろと自分の体験から事例を出してくれたので、
結構議論は面白かった。
住民のニーズってなんだろうって
悩み考えるのも、大切なことだ。

次回もチェンバースを踏まえた上で
ディスカッションをする予定。
もう少し、貧困について考えたいな。
あっ、でも僕は横でニコニコしているだけだけど。


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IMGP0953.jpg

そろそろ干した大根を出荷しようと考えている。
すでに一部の県外店舗では、
このカラフル大根を販売しているが、
県内の直売所でも、昨年同様販売予定。

干し大根というと、
あまり僕にはなじみがなかった。
古臭いし、見た目美味しくなさそうだし。
使い勝手が良い、とか、
栄養価が高い、とか、
どちらかと言うと、
美味しいから、や、
これが無いと始まらない、といった
食に対して積極的なポジションではなかった。

でも、昨年から、
この乾燥大根にはまっている。
僕が年を取ったからかもしれないが、
そのポジションが僕の中で変わったことも大きい。

カラフルな大根を干してみると、
見た目にオシャレだった。
そして何より、その味が美味しかった。
それを使って作る料理も、
なんだかワンランク上になるような気もした。

P1040753.jpg

我が家では、乾燥大根を使ったチャーハンを良く作る。
お湯で20分程戻し、
その大根を細かく切って、ごはんと一緒に炒める。
味は、塩や醤油で適当に。
そんな簡単なものだが、
これが見た目きれいで、しかも美味しい。

P1040829.jpg

さらには、この乾燥大根で、
妻が、ひな祭りのお寿司を作ってみた。
大根を戻した水は、赤く染まっているので、
これでご飯を炊くと、ほんのりピンクのご飯になる。
大根の味と香りがお酢と良く合い、
とても美味しかった。

まだまだ乾燥野菜には
楽しい食の地平があることを感じる。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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