ズッキーニの次はこれ。
フェンネル。

今、大量にとれているが、
大量に廃棄中の野菜。
なんせ、まだまだ福井では市民権を得ていない。
レストランでも、あまり使ってくれないし、
業者もあまりいい顔しない。

では、美味しくないのか?
いえいえ、最高においしいのであります!
この野菜、いつか大ブレークするだろう、と信じている。
まぁ、僕がそう信じている野菜の多くは、
未だに、大ブレークしないけど。。。

経営の視点で考えると、あまり作らない方がいいのだろうけど
(こんな野菜に付き合う暇があれば、他を作ればいいのだろうけど)
僕はどうしても、この美味しさを
日々の食卓で味わってもらいたいと思って、栽培を続けている。

特に、このフェンネルは、
夏を思わせるような味なのだ。
清涼感のある香りと
魚とよく合う風味。
これを食べると、夏を思い出す。
食べると記憶がよみがえる、
稀有な野菜の一つ。

さて、力説はこれくらいにして、
売れないのなら、家族で
美味しく食べることにした。


まずはこれ。
P1000868.jpg

フェンネルを生ハムでくるみ、
それにチーズをのせて、オーブンで焼いたもの。
フェンネルは、事前に軽く火を通しておくこと。
チーズと生ハムの味に
清涼感のあるフェンネルの香り。


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次はパスタ。
フェンネルの葉をジェノベーゼ風にして、
それをソースとして使った。
ソラマメとエビとフェンネルの相性がばっちり!
赤ワインの飲みさしがあったのだけど、
思わず、白ワインを新たに開けてしまった。。。


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パスタで使った
フェンネルのジェノベーゼ風ソースを
たっぷりとぬったトースト。
生ハムとチーズをのせて、簡単出来上がり。
パンは、自家製で、
チェダーチーズたっぷりのパン。
娘も美味い美味いとたくさん食べました。

自分たちで作るのもいいけど、
プロが作ったらどういう風に調理してくれるのだろうか。
そこで、いつものサレポアさんにお願いをした。
「フェンネルのコースをお願いします」と。

普通、そんな無茶ぶりは受けてもらえないのだろうけど、
シェフは快諾してくれた。感謝!

P1000913.jpg

まずは、これ。
フェンネルのスープ。
真ん中には、ペルノを混ぜて作ったムース付き。
このムースとスープの相性がバッチリで、
もう何が何やらわからないくらい
美味しかった一品!
シャンパンと一緒に頂いたのだけど、
あまりにも合うので、高いシャンパンをスカスカ飲んでしまった。


P1000921.jpg

コースということでいろいろ頂いたのだけど
特に美味しかったのはこれ。
フェンネルの葉の触感を残したソースを
添えた魚料理。
やっぱりフェンネルは魚とよく合うね。
シェフ!ワイン、おかわり!!おかわり!!

やっぱりプロは違うねぇ。
フェンネルを栽培するものとして
とても勉強になりました。
八木シェフ、ありがとうございました。


最後におまけはこれ。
P1000890.jpg

意外に、フェンネルは飾りとしてもいけそうか??
お化けみたい、と妻は言うが、
僕はなぜか、X JAPAN を思い出した。


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ここ最近、ズッキーニが大量にとれる。
売れ行きも上々なのだが、
まだまだ、一般の家庭ではメジャーではない食べ物。
もう少し、浸透してくれたらなぁ、とも思う。

もちろん、販売や経営の面でそう思うのだが、
それ以上に、
夏野菜の先陣を切る、このズッキーニを
家庭でもっと楽しんでほしい、
これから来る夏を感じて楽しんでほしい、
という想いも強い。

食べることで生まれる記憶とそのサイクル。
これが、豊かな生活なんだろうなぁ、と最近はよく実感する。
僕の野菜も、その演出の一つになってくれたら
生産者として、これ以上に素敵なことはない。

さて、ズッキーニ。
どう食べたらおいしいだろうか。
一番簡単なのは、炒めるレシピだろうか。
なので、炒めるレシピは今回はやめて、
いろいろと創作してみることに。



P1000861.jpg

まずはフリット。
カラッと揚がる天ぷら粉に、
粉チーズと塩を混ぜて、
それを衣にして揚げるだけ。
そのままでも美味しいし、
バルサミコのソースを作って、それを付けてもGood!
ビールか、泡もののワインってところだな。



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豚肉と一緒に重ねて
オーブンで焼くのも美味しかった。
チェダーチーズを上にのせ、こんがりするまで焼く。
重ねるときに塩胡椒もしておくことを忘れずに。

ズッキーニは淡白な味だけど
一緒に調理する素材の味がしみやすいので、
お肉と重ねて焼くと、とても美味。
赤ワインが飲みたくなるねぇ。


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最後がこれ。
ズッキーニのカルパッチョ。
生のズッキーニをレモンでしめて冷やす。
オリーブオイルをたっぷりかけて、
カリッと揚げたニンニクとピーナッツとチーズを
トッピング。
これは美味かった。
ニンニクの味とピーナッツのカリカリ感と
ズッキーニの歯ごたえがよく合うこと、よく合うこと。

お腹も心も、家族みーんな、
まあるくなりました。

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例年ならば、5月上旬には終わっていた
畑のマルチがけ作業が、今日、ようやく終わる。
ふー。

借りた田んぼを露地畑として使うのだが、
今年は条件がよくなく、作業が遅れていた。
隣の田んぼの畔が低くて、
隣の人が田んぼに水を張ろうとすると
勢いよく、僕の露地畑に流れ込んで来たり、
もう一か所の田んぼは、
村の人から
通称“みずたまり”と呼ばれている場所で、
その名の通り、ずいぶん晴れていても
乾くことのない田んぼだった。

昔の人が付けた村の中の地名は、やはり意味がある。
昭和の時代に、土地改良されて、
全部四角四面の田んぼに変わってしまったけど
今でも村の人が言う地名は細々と残っている。
僕も、そこが“みずたまり”とは知っていたけど、
暗渠や排水がきちんと整備されているし、
うちの村は砂地が強いので、
それほどじゃないだろうと思って借りたのだが、
それが甘かった。
やはり“みずたまり”は“みずたまり”だったと
思い知らされた。
乾かない田んぼを露地に変える作業は、
ずいぶんとしんどく、時間のかかるものだった。

それでもどうにかこうにか、
マルチがけをして、一部に夏野菜を定植し
畑らしくなってきた。

ただ、畔の低い田んぼからは、時々
こんこんと水が漏れ出て、僕の畑を水浸しにする。
その人の田んぼには、うまく水が張らないようで、
僕の田んぼに水が入っていても、お構いなし。
畔に畔シート入れる何かすればいいのに。
80を超えるおじいちゃんが
作っている田んぼなので、
こちらからはあまり強くは言えないし、
言っても、耳が悪くて聞こえないふりだったり。

しばらくは、その田んぼの用水をめぐって
開閉バトルが
展開されそうである。

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たまには、農作業の内容も記録しようか。

今日は、朝から一日中、
野菜の苗の定植だった。

定植をした畑は、露地の畑。
なので、ナスなどの苗は、定植したら
すぐに支柱に結束しないと
風で傷んでしまう。
やはり露地は仕事量が多いなぁ。

今日の定植メニュー。
ナスを480本(8種類)。
ホオズキ80本。
ルバーブ40本。
ナンキンが140本なり。

ここまで植えて、支柱で結束して
今日はおしまい。

それでもまだまだ定植作業は終わらず、
オクラが6000本ほど残っているし、
ズッキーニの露地の畑もまだ作っていない・・・。
春は忙しい。。。

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新学期が始まり、昼休みのほとんどが
授業にとられるようになってきた。
ちょっと疲れがたまってきたかなぁ。

さて、今回は月間レポートのディスカッション。
研修生は1年生から3年生まで、毎月、
月間レポートを書いてもらっている。(詳しくはこちら)
それについて、いろいろと議論をするのだが、
今回は、2年生のタタン君を取り上げてみよう。

彼のレポートは理路整然。
箇条書きで、文章が簡素かつ難しい単語を使わず、
要点のみを書き、
プレゼンでもあまり余計なことを言わず、
話もまとまっている。
彼のレポートとプレゼン態度は、僕の好み。
そんな彼だが、今日のレポートでは精彩を欠いていた。

月間レポートでは、
帰国後の営農について具体的に書いてもらっている。
インドネシアの子に限らず、どこでも同じかもしれないが、
少し先の将来についてのビジョンについて書け、というと
大抵が、とても曖昧な書き方をする。
僕はそれが嫌いだし、あまり意味のない作業だと思っている。
インドネシアの研修生で、これまで多かったのが
『農園たやで学んだことをもとに、地元のポテンシャルを活かして、地域の農業発展に貢献したい』
というもの。
非の打ちどころがないように見えるが
その実、中身のない文章。
具体的に考えていない証拠。
4月に来たクスワント君は、さっそく上記のように書いてきて
僕から指導を受けた。
だが、2年生のタタン君は違っていた。
1年生の時に、散々、指摘され続けてきたので、
さすがにタタン君の将来のビジョンは
具体的だった。

彼は、いろいろと考えた結果、
バニラの栽培を目指そうと最近は考えているようだ。
『帰国後は、バニラの栽培に力を入れたいです』
と力強く話してくれる。
うむ、具体的でよろしい。
だが、すこし疑問もある。
ここでの研修では、バニラ栽培の方法は教えられないのだ。
そもそも、僕もバニラ栽培をしたことはない。
それを問うと、
『バニラ栽培は、帰国後に勉強します』と
またまた力強く話してくれた。
うん、そうだね、と言いそうになるのをぐっと我慢して、
それじゃ、ここで勉強する意味は?と問うと、
彼も困ってしまった。

当然、栽培学的な基礎や有機農業や持続可能な農業のコアな部分を
共有する意味で、ここでの研修が無意味だとは
僕も彼も思っていない。
でも、月間レポートの将来のビジョンと
ここでの学習の意味を見いだせなければ、
自己学習の目標を見失いかねない。
(研修生各自が、将来のビジョンを実現させるために、その月々に自己学習の目標を設定して、自分でも学習してもらっている。毎月、その成果も月間レポートで発表してもらっているのは余談)。

だから彼の今月の自己学習のターゲットは
『バニラの栽培法をインターネットで調べる。』のみだった。
それも大事なのだが、もう少し何かあるだろう。

僕は彼に聞いた。
バニラは、誰に売るの?と。
すると彼は、『中国人の商人に』と答えてくれた。
華僑の集荷商人がいるらしく、
その人ならば、なんでも買ってくれるのだとか。
じゃあ、そのバニラは、
どこでどうやって使われるのか知っている?と問うと
『あまり知らない』とのこと。
バニラという植物がどういうものかを彼は知っているが、
どのような現場でどのように使用しているかは
彼はよく知らなかった。

日本では良質のバニラはとても高価だ。
ほとんどがバニラエッセンスを使用し、
本物のバニラは使いたくても使えない場合が多い。
どんなふうに食べたり、料理に利用しているかを
知らずに、それを生産するのは、
僕らの業界じゃ、当たり前の話なのかもしれないが、
少なくとも僕の場合、
それはとてもナンセンス。

『食べる』ことまで包括的に考えて
そこまでを視野に入れながら、生産と販売を行ってこそ
僕は本当の『考える農民』と言えるんじゃないかと
思っている。
少なくとも、僕の研修を受けた子は、当然のように
そう考えてほしい、と願っている。

さて、そんな話をしていたら、
『調理現場やお菓子にどう使われているかを調べてみます』
とタタン君。
なので、さっそく知り合いのジェラート屋さんに
連絡を取り、見学を頼むと、
快くOKしてくれた。持つべきものは、やはり朋だ。
タタン君、バニラについて、
パティシエの意見を存分に聞いて来ようじゃないか。


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金曜日はインドネシア研修3年生のゼミ。
「現代農業」という雑誌から、
オクラとマルチ麦の昆播の技術の記事を選び、
イルファン君は発表してくれた。

イルファン君は、この1年、害虫の防除と天敵利用が
彼のテーマで、
そのテーマに沿ったゼミを1年かけてやっていく予定。

さて。
オクラの畝間に麦をまくという技術で、
ちょうど、オクラの通路が麦で埋まる形になる。
利点としては、
オクラの初期生育で発生するアブラムシの防除と
(天敵による発生抑制効果)
夏になって、麦が枯れることでオクラの畝間の
雑草の発生抑制などがあげられる。

インドネシアの文脈では、
表土の保全につながり、強烈なスコールから
土壌流亡を防いでくれる効果が期待できる。

実はこの技術、すでに数年前から僕の農園では採用している。
麦を生やすのがなかなか難しいのだが、
うまく生育してくれれば、アブラムシの防除は
ほとんど必要なくなるのである。

イルファン君とタタン君の関心は、
麦そのものじゃなく、そこに寄って来る害虫の種類と
天敵の種類をラテン語で知りたいとのことだった。
和名ならば僕も知っているのだが、
ラテン名はわからない。
ラテン名がわかれば、インドネシアでも
同じような虫がいるかどうか、
この技術が効果があるかどうか検証できる。

ラテン名がわかるように天敵辞書と害虫辞書の
購入が必要のようだ。
来週、耕志の会の定例会を行う予定なので、
会で購入するかどうか検討しようという話になった。


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インドネシア研修の新学期が始まった。
新しく来たクスワントが、日本語の1か月訓練を終え、
今週から実習に入れるので、
新しいスメスターを開始した。
日本語訓練は、長期海外研修制度の制度上、
必要らしいが、どうもそのクオリティに問題を感じるのは余談。

さて、今日は今期スメスターの説明。
授業は週に3回。
月曜日が農業構造論。
水曜日が地域開発論。
そして金曜日が3年生のゼミ。

さて、農業構造論では、何を勉強するの?
と、今年3年生のイルファンに問うと、
「農業の中身を分析し、比較検討できるためです」との答え。
うーん、わかったようでわからない答え方だが、
良しとしよう。
この授業が、僕の研修の最も基礎になる。
農業を下支えする要因をあぶり出し、
表象である農業そのものを地域ごとに比べるのではなく、
その要因や背景を理解し、比較することで、
自分たちの農業の進む道を見つけてもらいたいという授業。
相対主義的な視点を獲得するのが目的で、
妄信的に日本の農業を先進的として誤解している
インドネシアの研修生の考えを
軌道修正する授業。

地域開発論では、
日本の農業ビジネスの事例を2年生が漫画で読み、
そのプレゼンを行ってもらい、
成功のカギはいったい何なのか、を議論する。
農業構造論で腑分けされた要因ごとに見ることで
ぼんやりしていた成功の鍵がより
顕著になると思っている。
さっそく、2年生のタタンに、
徳島県上勝町の「いろどり」の事例本を渡す。
2週間後にプレゼンをしてもらい、議論する予定。

3年生のゼミでは、
今年3年生のイルファンが行う卒業研究のテーマに沿って、
文献や雑誌を読み、それをプレゼンしてもらいながら
議論する授業。
文献・雑誌は、インドネシア語は不可。
必ず、彼らにとって外国語で書かれたもの(英語や日本語など)。
最低2週間に1回はプレゼンをすることになっている。
(本当は1週間に1回にしたいのだが、研修生から『無理!』と言われてしまった・・・)。
先々週に、その課題は言い渡してあるので、
今週金曜日にさっそくゼミ開始。
今回は、オクラ栽培の畝間に、麦を播種して
バンカープランツとして利用するという農業雑誌の記事。
僕もすでに実践して久しい技術の一つ。
インドネシアでも有効だと考えられるので
是非、彼らと一緒にインドネシアのモデルも
考えていきたい。

この授業の合間に、
月間研修レポートの議論や
外部特別講師(協力隊OV)の講義などを
予定している。
また忙しくやりがいのある日々になりそうだ。



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ここ最近、人前で話をする機会が増えた。
協力隊から帰国直後は、月に1回以上のペースで
学校で出前講座をしていたのだが、
10年以上もすぎると、そんな機会もなくなっていた。
ただ、最近、いろいろなところで取り上げてもらうことが増え
少しずつだが、人前で話をする機会を頂いている。
この作業は、僕にとって
脳みそのいつも使う部分とは違った部分を使うので
とても刺激的。

さて今回は、
5年経過した学校の先生を対象とした研修に
講師としておじゃました。
話す内容は、いつもとほぼ同じで
協力隊から大学院時代、そして現在の活動の軌跡を
話しつつ、風土(地域)づくりに必要なことは何かを
いっしょに考えてみようというもの。

今回は、教育研究所から
「人づくり、自分づくり」というタイトルを頂いたので
それを一つテーマに加えて、考えてみた。

結局のところ、僕が思うに
人づくり、自分づくりとは
他者と関わり続ける姿勢なんじゃないかな。
そしてそれが異文化であればあるほど、
それに関わる自分の価値や存在が危機に立たされ、
その都度、そう思っている自分とは何なんだ?と
問い続けることが、大切なんだと思っている。

無批判&無思考に
異文化交流や国際協力を肯定し、
それに向けての行動を盲目的に行うのではなく、
それはいったい何なのか、それに気が付くことが
最近は大切な気もしている。

異質なものとの遭遇こそ、
新しい何かを築く原動力となり、そのプロセスの積み重なりが
人や地域を大きく育ててくれるんだと思う。

そんな話を、得意の「風土」に
ひっかけて話をした(風はよそ者・土は地元の人)。
そうしたら、講演後、ある先生から
「学校の中でも『風土』という言葉を使うんですよ。学校の先生は移動し続けるから『風』で、その地元『土』に入り込んで行って、その地域を創り上げていくってね。田谷さんはそれを知っていたんですね」
と言われたのだが、僕はそんな話は知らなかった。
でも、やはりどこでもこういった話は
通ずるところがあるようで、
僕の解りにくい異文化理解や国際協力の話も
身近に感じてくれたのではないかと思う。

最近、農作業に追われていたが
僕にとっても、いい気分転換になった。
聞いてくれた方々にとっても
そうであってくれたら、幸いである。



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土曜日は、農園の焼肉パーティー。
新しく来たクスワント君の歓迎会を兼ねて。

野菜は当然買わない。
近くのハウスから
金時草とズッキーニを収穫してきて、
それをしこたま焼いて食べた。
ビールと焼肉によく合う野菜。

自分たちで野菜を作って
それを食べる。
これがうちの基本。
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日曜日は勉強会。
今日は、酒井君の番。
彼が選んだ本はこれ。

舘野廣幸 著 「有機農業 みんなの疑問」筑波書房

この手の本での議論は、なかなか難しい。
有機農業自体を否定はしないが、やや哲学的に
有機農業の優位性を語っている本は、特に議論が難しい。

有機農業に絶対の信頼を置いている視点で読めば、
賛美・賛美・賛美、で終わる。
逆に有機農業の優位性に対して
そうなの?とはてなマークの視点で読めば、
膨大で、しかも多言語である、
科学的なデータの精査の必要性が生まれ、
そして自分の立場に優位なデータの応酬に陥る。

じつは
有機農業の視点を持って(技術論ではなく)、
社会を見つめれば、
そこから見える歪が見えてきたりもするのだが、
そういう記述ではなく、技術的な優位性と
正当性ばかりを説明する場合、
最終的には、上記の二つのケースに陥ってしまう。

どう今後に活かすか、というのが
この勉強会のもっとも肝心なところ。
有機農業を販売に活かすのか、
それとも生産面で、その特徴でもある土づくりをしっかりと行い
持続的・継続的な営農を築き上げるのか、
そこがポイントなのだろうか。

酒井君は、
「土づくりをしっかりやりながら、それでも経営として成り立ち、消費者にも誇れる農業をしたいです。」
と、やや慎重に、そして自信なさげに答えていた。
今回の勉強会は、酒井君が妥当で迷いある答えを
用意してくれたため、
僕ら自身も、このバケモノをどう扱っていいのか
悩むまま終わった。
彼のプレゼンはある意味正しい。
有機農業の視点も(技術ではなく)織り交ぜながら、
消費者との関係を見ようと
無意識ながらも試みていた。
どうやったらいいのか、まだまだ悩むところだねぇ。

さて、酒井君の話とは別に、
この本に一言。(二言???)
食糧自給率や今の世界の生産体制に対して
著者の有機農業の思想で挑む姿勢は、
その運動性を失った今では、少し奇異にうつるが
概ね、好感を得られる。
(酒井君は、戸惑っていたけど)

しかし、有機農業で飢餓がなくなるといった
短絡的な議論は差し控えるべきだろう。
有機農業では食糧生産量が減る、
といったチープな反論をする気はなく、
そもそもの社会制度としての土地所有に
大きな差別と格差があることに
この手の物書き達は、あまり意識的じゃない(というか短絡的)。
技術論に特化して、それが世界を救うような
技術を見て人や社会を見ない姿勢に
僕は嫌悪を感じる。

野菜のミネラルがなくなっている記述も
有機農業か慣行農業かの問題じゃないはずなのに
問題がすり替わっているのも疑問。

良しも悪しも、
90年代前半の有機農業運動の残り香が感じられる一冊なのかな。



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05 13
2011

スタッフの太田君が、
いろいろと栽培したい、と言っていた。
じゃぁ、企画書みたいなものを書いてきて、というと
そこで時間は止まってしまっていた。

このまま止まったままにはできないので、
一つフォームを作ることに。
あんまり小難しいものじゃなくて、
それをたたき台に、話し合いが出来ればと思うので
必要最低限の企画書。

まず、栽培したい品目と品種。
企画書の内容は大きく3つに分かれる。
1は栽培。
2は市場。
そして3は、食べ方・調理法。
僕はやっぱり
食べ方や調理レシピが提案できる方が
素敵だと思う。

「栽培」では
面積・収量、
栽培カレンダー(管理作業)、
施肥、
防除(総合防除)、
などを書いてもらう。

「市場」では
いろいろな市場を検討してもらう。
といっても考え方がまとまらないだろうから、
一つだけヒント。
5W1Hがポイント。
When(いつ)。時期はいつ?
Where(どこで)。どの市場か?
Who(だれ)。誰がターゲット?
What(なに)。これはあまり関係ないか。
Why(なぜ)。それぞれの理由を明確に。
How(どうやって)。どうやって売るの?

これらを考えながら、
どの市場にアクセスし、誰にどの時期に売るのかを
ある程度考えてもらおうと思っている。

そして「食べ方・調理法」。
作ろうと思っている野菜の調理レシピを
「市場」で考えている売る相手のライフスタイルに合わせて
提案をしてもらう予定。

これらの項目は、そんなに長々と記入する必要はない。
これくらい書いて来れば、
その品目を実際に栽培するか、検討作業に入れるだろう。
有望そうであれば、試験栽培をし、
市場やお客さんの反応も探りながら
本格的に栽培していく、というプロセスだろうか。

これまで新しい品目に挑戦するときの
僕流のプロセスが、だいたいこの通り。
その企画通りにいかず、失敗も多いけど、
その失敗が次の品目を探し出す感覚を
磨いてくれることも事実。
さて、太田君は、一体、何を提案してくれるのだろうか。
とても楽しみ。



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朝一で、業者から電話あり。
「吉川ナス、いつ出荷できますか?」だって。
すんません、まだ、定植していません、って答えると
少し相手の声のトーンが落ちたように感じた。

ということで、今日はほかの仕事を後回しにして、
吉川ナスの圃場準備をして、
一気に定植してしまうことに決めた。

まずは、圃場準備だ。
先日堆肥をたっぷり入れたハウスに
スタッフの太田君と一緒に
石灰と有機質肥料を入れる。
朝方まで降っていた雨は上がり、
強い日差しがさす青空模様。
ハウスの中の気温はぐんぐん上がる。
そして堆肥と有機肥料の独特の匂いと
石灰散布でもうもうと白い埃をたつ。
圃場の土埃もひどく、
汗が茶色になる。

二人で肥料散布の道具を
背中に担ぎ、土煙あげながら
元肥の散布。
雨上がりの青空という風景と
ハウスの中のもあっとした暑さと
肥料の独特の匂いと
汗が茶色になるほどの土煙と
二人が縦横無尽に肥料を散布する風景が
モーツアルトの
「2台のピアノのためのソナタ」と
よくマッチしていた。
ウォークマンから流れるその曲は
テンポがよく、二人の動きをイメージしていた。

クラシック音楽って農作業のそれぞれの場面に
よく似合う気がする。

無事、ナス苗の定植も終え、
圃場が出来上がった。
ズッキーニ、ナス、と作業が進んでいる
夏野菜の準備。
最後にオクラという大物が残っている。
まだまだしばらくは、忙しい日々が続きそうだ。

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地元のテレビ番組に出演。
「座タイムリーふくい」という番組。

『今こそビジョンを!ふくいの食と農業』
というテーマで、ロハス越前の田中滋子さんと
笑人堂の中川陽如さんとの3人での議論。

収録は無事に終わったのだが、
問題設定が、どれも大きく、
僕の手に負えるものじゃなかった。
と、思う。
(大震災と食と農、儲かる農業は可能か?農業は他産業と同列に語れるのか?等々)

現場の実情がもう少し話せるとよかったと思う反面
僕の「現場」があまりにもローカルすぎて
それを大きな問題にまで昇華させる力が
僕にはないことが分かった。
(あるいは昇華させる気がないのか・・・)

「今、どんなビジョンが必要か?」では
田中さんの発言がとても勉強になった。
意識が「農」に向かうような
そんなムーブメント。
僕が言いたかった、流通で分断される情報を
再び僕らの中に取り戻す、ということが、
彼女の発言では
より現実に近い形だった。
僕ら生産者が、あれこれと情報を発信し、
認証制度を作り、差別化をはかっても
受けては混乱するばかりだろう。
食べる側・買う側の歩み寄りもあれば
僕らの社会は、もう少し素敵になるような気もする。


放送日は
5月14日(土)。

放送: 毎週土曜日 午前10時30分~ 。
再放送: 毎週月曜日 深夜 1時05分~ 。

福井テレビというローカルなので、
県外の人や国外の人は見られないかと思いますが
あしからず。


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雨。
ずーっと振り続ける雨。

こんな日は、ハウスの中で作業。
圃場の準備が、ゴールデンウィークの忙しさで
遅れがちになっていたので、
午前はトラクター仕事。

ハウス内のトラクター仕事は、
うるさいエンジン音と、
もうもうとたち上がる土埃と、
鼻をつくディーゼル臭さで、
嫌いな部類の仕事。

でも、その天候とその苦痛な仕事には
ラフマニノフがよく似合っていた。

最近買ったウォークマンに
ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番と第2番を入れて、
トラクター仕事の友にしているのだが、
とくにこの仕事には、
第2番がよく似合う気がする。

バッハやモーツアルトは絶対に
似合わない、そんなどうでも良い事を
それなりに真剣に考えながら
トラクターをかける日だった。


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今回は、僕の番。
なんだか、まわってくるのが早い気がする・・・。
ゼミの準備って、結構時間がかかるんだよなぁ。
と、ぼやきつつも、

今回、僕が題材にした本はこれ。

池上甲一、岩崎正弥、原山浩介、藤原辰史 著 『食の共同体』:動員から連帯へ 2008年 ナカニシヤ出版。

ちょっと頭の体操ということで、
今までとは違った視点で考えてみようと思い
この本を紹介。

この本は4人の著者が執筆しているが
その中でも
原山浩介氏が書いた
『喪失の歴史としての有機農業』の章を取り上げて
ゼミとした。

有機農業は、その出発点から農業の本道ではなく
周縁として存在し、
農業のスタイルのみならず、
さまざまな社会の仕組みや制度に対して
オルタナティブな視点と手法を
発信し続けてきた。
しかし、有機農産物が制度化し(JAS法等)、
商品化され、通常の市場流通の仕組みと
社会認識に取り込まれた時、
周縁性を失い、
それが持っていた運動性も失ってしまった。
有機農業の持っていた力学は、
オルタナティブな社会の変容を促す方向性から
諸制度の中で、如何に有機農産物を生産するかに
換えられていってしまった。
ということを指摘している論文。

著者は、思考を逡巡させる必要性を説き
合理的な選択肢だけがあふれている世の中を
大胆にはみ出すことが、
「正しい」と思う事への挑戦だと
やや高揚感を持って記していた。

たしかにマクドナルド化する社会の中で
僕らには、すでに正当であることが自明となったものばかりを
選択する「自由」はあるが、
「自在」ではない。

制度化され、商品化され、
既存の流通と社会のシステムに組み込まれることで
それは合理性を発揮し、
煩わしく、そして解りにくく、伝わりにくい部分が
そぎ落とされ、
僕らの消費しやすいものへと変換され、
そして、僕らはそれを喜んで、
あたかも「自由」な気分で、自分の意思を持って選択し
それを消費する。
そんな世の中を
原山氏は、有機農業の運動性を失う過程に
目を向けながら指摘している。

食べることから、2つの思考のフレームワークが得られるが、
一つは、調理であり、創意工夫と文化で食べることを表現するのだが、
もう一つは、食を通した共同体であろう。
この場合、原山氏の論文は
有機農業を通した共同体構築の歴史であり、
そして喪失の歴史だったといえよう。

前々回の太田君が発表してくれたJAS法の表示の
差別化の問題と相まって、
やはり、僕らが問われているのは
有機農業の科学的な判断や手法の瑣末な問題ではなく、
それを食べる側と交換している、その関係なんだと思う。

喪失した有機農業を眺めながら
僕らは再び、その関係を
自分たちの手の中に取り戻せるのだろうか、
という問いが、僕の中ではこだましている。



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先週の記録から。

林君が選んだ本は、これ。
生源寺眞一 著「農業がわかると社会のしくみが見えてくる」家の光協会。

農業経済学者である著者が
農業の様々な問題や仕組みをグローバルにとらえ
平易な文章で紹介。

農業経済学とは何ぞや?という問いが林君にはあったらしい。
彼としては、本の内容は別として
よくわからなかった、とのこと。

この本では、フードセキュリティや食料自給率、
先進国と途上国の農業の対比などが書かれている。
そこから林君は、いろいろと啓発されたようで、
持続可能な農業をめざし、
必要十分な利益を確保し、
できるだけ消費者との距離が近くあるべきだ、と
結論付けていた。

実際に、どうするのかが、これからの課題だね。


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P1000751.jpg

妻が仕事でいない土曜日。
保育園が休みの娘を連れて、ハウスを見回っていると
ズッキーニができていた。
娘は、大はしゃぎ。

昨年、
あんまりズッキーニなんて食べなかった娘は
得意顔で、
「ズッキーニって大好き!」
といって、見回っている間中、それを離さなかった。

それがどんな文脈で、どんな風景にせよ、
食卓で調理されて出てくるだけのズッキーニとの関係より
彼女は、多くのことを感じているようだった。

こんなことで人の嗜好はなかなか変わらないだろうけど
今年は、ズッキーニたくさん食べてくれるといいなぁ。

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P1000726.jpg

ロメインレタス出荷開始。

手で適当な大きさにちぎって
レモンのしぼり汁に少しだけグラニュー糖を混ぜたものを
ドレッシングにしてあえ、
それを食べる前に、冷蔵庫でキュッと冷やすだけで
ご馳走になるようなレタス。

是非是非、お家で楽しんでください。

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ゴールデンウィークは、農繁期。
田植えはまだまだ先だが、
夏野菜の準備や、ゴールデンウィークの野菜需要に
応えるのに忙しい。

どこへもいけないのが残念なのだが
せめて、食卓だけでも充実させたい。

という想いが、
妻と重なると、
ちょっとしたレストランには
負けない食卓なったりもする。

P1000718.jpg

この日は、
先日収穫したセロリと根セロリをどう食べようかと
思案しながら仕事をしていた。

冬を越して、大きく育ったセロリと根セロリは
甘みはないが、強烈な個性を香りと苦みに出す、
僕の作る野菜にふさわしい味になっていた。

ぜひ
美味しく食べたい。
それと赤ワインを合わせたい。
そんなことを考えながらの農作業。

その問の妻の答えは、これだった。
P1000716.jpg

赤セロリのレバーペースト。
野菜たっぷり、香辛料たっぷりのレバーペースト。
苦くてとても食えたもんじゃない、と
思っていた赤セロリも
とても素敵なアクセントとなり
料理のハーモニーを奏でていた。

ちょうどチェダーチーズをたっぷり入れて焼いた
食パンが冷蔵庫に余っていたので
それを焼いて、付けて食べた。

う~ん、しあわせ。


そして根セロリはこれ。
P1000714.jpg
根セロリのカツレツ

厚めに切った根セロリをかるく調理して
豚肉をまいて揚げたカツレツ。
ジューシーで、セロリの香りもよく
すこぶるうまい一品だった。

ワインがどんどん空く、空く。

そして
主食は、僕が担当。
昨年とって、今まで出荷し続けてきたごんぼ(ごぼう)。
それがいよいよ最後になってきた。
そのごぼうを眺めていたら、
「僕をリゾットにしてください」
とごんぼがいうので、
その通り、チェダーチーズたっぷりのリゾットに。
P1000712.jpg

ベーコンとごんぼとチーズの
クリーミーなリゾット。
ごんぼのチップスを散らすと
薫り高くて、よりGood!


ああ、お腹も心もしあわせ。
げぷっ。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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