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新しい家に引っ越してきて、娘に新しい友達ができた。
家向かいの一つ下の男の子。
なぜだか彼が痛く気にっており、
家の中から、向かいの家に向かって彼の名を連呼することもある。
父としては、やや不安な光景ではある。

さて、その彼と娘は、ときどき一緒にお散歩に出かける。
娘は、お気に入りの黄色い三輪車に乗って。
彼は、ミッキーの描かれた青い小さな自転車に乗って。
仲良く近所をツーリングしている。
しかし、それは初めだけで、
一つ年下の彼の方が、娘よりも速いスピードで
どんどん先に行ってしまうのである。
なぜなら、
彼は自転車に乗っており
娘は三輪車に乗っているから。
体も脚力もはるかに娘の方が上回っているのだが、
三輪車は自転車には勝てない。
小さなおむつも取れていない子に負けたのが悔しかったのか、
娘は「三輪車はいや!」と泣いていた。

その話を聞いた爺婆(僕の両親)は、これ幸いと
早速、農協を通じて孫のために自転車を購入してくれた。
ピンクのかわいらしい自転車だった。

その自転車が来た日、
娘は早速うれしそうに自転車にまたがった。
しかし、またがった娘からは笑顔が消え、次第に不安な顔になっていった。
そして、一度もこぐことなく、自転車から降りてしまった。
理由は、娘の身長と成長を考慮して買った自転車が、
家向かいの彼が乗る自転車よりも一回り大きく、
娘としては、その大きさに不安を感じたのだった。
「自転車、怖い」
そう言って、娘は一切自転車に近づくことがなくなった。
そうして真新しいピンクの自転車は
誰に乗られることもなく
小屋の中で布をかぶって保管されることになった。

それから僕は、事あるごとに自転車の練習をしようと娘を誘うのだが、
娘は頑として乗ろうとはしない。
先日、妻の父がやってきた時、
向かいの男の子と一緒に自転車と三輪車で散歩をしていた。
やはり男の子の方が、自転車に乗っている分、先を進んでいたのだが
娘は必死の形相で足を早く回転させて、何度か三輪車で自転車を追い抜いていた。
それが満足だったのか
「もう三輪車でも早くなったもーん!自転車なんかいらないもーん!」
と得意げに語るようになった。

彼女はどうやら早くて新しい乗り物に乗るという、
ある意味、自分の根性を試す行為よりも
今乗っている乗り物のスピードを根性で上げることにしたらしい。
きっとこれが彼女の性格なのだろう。
どこか自分と似ているその不器用な根性の使い方に
これからの彼女の生き方があるのだとしたら
やはり父としては、それは不安な光景でもあった。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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