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出張の記録をもう少ししたい。
今回の出張のミッションの一つが
耕志の会の総会である。

かなり長文になってしまったので
時間のある時に読んでもらえたら嬉しい。

耕志の会とは、もともとは
農園たやで勉強をする実習生を支える会だった。
農園たやの実習生とスタッフ有志とで組織し
もちろん僕も入っている。
卒業研究や本の購入、
生活に必要な物資(最近では耐震グッズ)の購入、
勉強に必要な物資(紙・インク・プリンター等)の購入、
さらに
見聞を広めるための国内スタディツアーの実施や
懇親会等を行ってきた。
授業にかかる素材(教科書やDVD等)は
農園たやが準備するが
いわゆる生徒がそれに参加するために必要な物資等は
耕志の会が支援をする。
日本に来る場合の支援も耕志の会が行う。
日本語学校での経費やパスポート、ビザ等の取得は
実習生本人負担であるが
この費用がかなり高い。
しかも日本語学校に通っている間は無収入になるので
生活費も必要になる。
ヘタな金融に手を出すと利子が大きすぎるので
耕志の会がこの費用を無利子で貸している。
まぁ、いわゆる会社や本人では負担が出来ない項目を
援助しあう互助会的な存在だ。

その互助会が、実習修了生が増えてくると少し発展をした。
実習修了生たちは、農園たやでやっていたように
インドネシアに戻っても勉強会をしたいという事で
耕志の会のインドネシア支部を立ち上げ
月一でビジネスの勉強会も始めた。
そこに日本の耕志の会から金銭的支援も行っているし
僕もその勉強会にはかならずネットで参加している。

で、2016年と2018年に耕志の会では
JICA基金から援助を受けて
地域住民を巻き込んだ開発プログラムを実行した。
特に2018年は持続可能な小規模コーヒー栽培の研修事業ということで
90名近い住民が参加してのセミナーを開催し
実際に3か所の対象地域でコーヒーの栽培を始めている。

ただ、このコーヒー栽培の事業が
すこし耕志の会のインドネシア支部に亀裂を入れた。

農園たやの実習修了生たちは
皆、比較的同じような地域に住んではいるが
その実際は、高地から低地、平場から山間地まで
農業という自然状況からかなり制限を受ける生業としては
修了生たちは同一の農業形態ではない。
とくにコーヒー栽培は低地では難しく、
高地の方がより品質も良く高い豆が作れることもあって
地域をかなり限定されてしまう。
コーヒーの研修をしたいと言い出したのは
もっとも高地にすむメンバーの提案だった。
当初、耕志の会のインドネシア支部では
みんなでは出来ないコーヒー栽培に
消極的だった。
ただ、僕はこのアイディアを高く評価した。
耕志の会は、勉強会のための会ではあるが
それぞれのビジネスを育てていく会でもある。
みんなで出来ないことは挑戦しないというのであれば
この会は懇親が目的になり身動きが取れなくなってしまう、
そんな風に僕自身が行く末を案じていたのもあろう。
実は農協青壮年部がまさにそのような体であり
常に多様な農業者の集団が潜在力を持ちながらも
その解を見出せないまま
自然消滅的に力を失っていくのをたびたび経験したこともあり
耕志の会には同じ轍を踏ませないと思っていたからかもしれない。

そこで2018年は品目をコーヒーに絞り
耕志の会は活動をしていた。
修了生メンバー9名中、コーヒー栽培が可能な4名が
この活動の中心となった。
とはいえ、定期勉強会は続けていく方向だった。
だからみんなが参加しての耕志の会は続けていく。
その予定だった。
しかし事情は違った。

2018年当初は
まだみんなが参加して勉強会を開いていたが
コーヒー栽培の研修が進むにつれ
コーヒー栽培の4名のみしか参加しなくなり
次第に活動が緩慢になった。
それぞれのコーヒー栽培はそれなりに面積を広げ
行政との繋がりも深くなり
これからの展望もずいぶんと見えるようになったのだが
勉強会はいつしか行われなくなった。

今回の出張では
この耕志の会の継続について話し合いを持った。
コーヒー栽培以外のメンバーは集まらないのかと思ったが
なんとかみんな集まり会議を開いた。
2019年はどんな活動にしていくのか
それの話し合いだった。

開口一番はイラだった。
イラは第5期生で、農業ではなく
水ビジネスを展開している。
彼はコーヒー事業を始める時も難色を示していた。
「コーヒーに活動を決めてから、耕志の会は分断されたと思う。コーヒーに参加していない人も参加できる活動がなかった。代表の責任だと思う」とノタマッタ。
実習修了生たちはスンダ民族で
腹の内をあまり表に出さないと言われているのだが
最近は事情が違う。
こうやって思っていることもズバズバという。
イラの指摘はごもっともで
4期生のクスワントが
2018年の耕志の会インドネシア支部長だったのだが、
勉強会は途中から自然消滅する形になっていた。
当然、それはイラのように
勉強会を開いても来なくなったことが理由なんだけどね。

イラは最低限の活動として、
勉強会の継続を提案した。
また同時に、コーヒーに焦点を絞ることを
止めたほうが良いとも提案があった。
どうしても焦点を絞るのなら
コーヒー栽培できない人もその活動に参加できるようにすべき
とのことだった。
みんなが参加できる活動にすべしとの提案だった。
これに反発したのは僕。
JICA基金のように公的な助成金をもらった場合は
やはりコーヒーを栽培できない、もしくは栽培する意思のない人にまで
その公的な助成金を使うことはできない。
僕は耕志の会は仲良しクラブにはしたくなかった。
それぞれのビジネスの相談に乗れる
有機的なネットワークにしたかった。
だから、コーヒーだけがフォーカスされたことは反省するとして
それぞれのビジネスで扱っている品目ごとに
耕志の会でプロジェクトを作っていくことを提案した。
その一つが
やるやるといってやってこなかった
マイクロクレジットの実施だった。

耕志の会では
有志の献金や会費の繰越金からの積み立てで
約70万円ほど自由になるお金がある。
これをマイクロクレジットとして
実習修了生のビジネスに貸し付けるという
活動をしようと当初から計画があったが
貸し付けから返済までのお金の流れや
インドネシア国内でのそのお金の管理、
果てには提出されたプロポーサルのチェックと
事業開始後の資金活用のチェックなど
日本国内では出来なことずくめ。
だから、マイクロファイナンスは
絵に描いた餅だった。
それが今年の1月から3期生のタタンを
ローカルスタッフとして雇うことで
それらすべてが可能になった。

マイクロクレジットといっても
まだまだ制度的には整ってはいない。
ただお金を貸して彼らのビジネスが
どんな風に変化するのか、
そのインパクトを大事にしたいということもあり
利子なしで、返済計画もそれぞれのビジネスの事情に合わせて
柔軟にすることになった。
たとえばコーヒー栽培で苗木購入の補助であれば
収穫が本格的になる3年後に一括返済とか。
その一方でジャガイモの植え付けの資金であれば
収穫が4か月後に一気に迎えるので
収穫後にすべて一括返済とか。
さらにお茶栽培の事業であれば、
収穫が出来る1年後から分割返済にするとか。
それぞれの栽培やビジネスのキャッシュフローに合わせて
返済計画を自由にするということにした。
資金の受け渡しやプロポーザルの価格チェックや
返済の管理や借り入れて行っている事業のチェックは
全て農園のローカルスタッフがすることになった。

これに対して
その場に同席してくれたメラニー先生は
僕のやり方に否定的だった。
その場では観察だけの務め
会議後に彼女から
「田谷のやり方は持続的じゃない」と指摘を受けた。
利子なしにすれば発展的にならないし
お金を管理している人は
それなりにその資金の運用益から
いくばくかのお金をもらってやるべきだと。
マイクロクレジットの運用という意味では
僕のやり方は落第点だろう。

先生の指摘に対して僕の意見はこうだ。
利子はいくらかは取っても良いが
人件費はこのクレジットから取ろうとすると
かなり利子が高くなる。
その経費を抑えるには
画一的な返済のカタチにすることになるが
事業によってはキャッシュフローが違いすぎる。
短期的な事業だけに絞れば
受益者を限定してしまうし。

とはいえ、メラニー先生の指摘は真っ当で
今後、もう少し遠い将来に向けて
マイクロクレジットを
事業として独り立ちさせるのなら
考えないといけないことが沢山あるというわけだ。
ま、例のごとく
走りながら考えようか。

さて、
会議に視点を戻せば、
資金を借りたいというのは4人いた。
レンディとクスワント、イラとタタンだった。
タタンは資金管理者なので、
かなり微妙な立場。
もし可能なら農園たやから貸付を行うなど
違う方法を考えないと
ローカルスタッフになった方が損することにもなりかねない。
課題はいくらでも湧いてくるな、こりゃ。
で、プロポーザルは3月末日までという事になり
この件は解決した。

また2019年度の役員も改正し
1期生のヘンドラが支部長
事務局が2期生のイルファン、
そして会計がイラの三役が決まった。
当面の活動は
勉強会の実施と
亀裂修復のためのレクレーションを実施することで
総会は閉会した。


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今回の出張では
ボゴール農科大学大学院時代の恩師
メラニー先生も同行してくれた。
彼女と会うのは、2013年以来だった。

彼女と一緒に回ることになったのは、
インドネシア側でのポテンシャル調査をしてくれる人材を
探していたからでもある。
少し前置きが長くなるが
ポテンシャル調査について書いておこう。

農園で行っている技能実習生の研修プログラムでは
帰国後に社会的ビジネスをすることが前提になっている。
そのビジネスを計画するために
まず実習生たちの住んでいる地域や
彼らの家族、彼ら自身の資源について
どのようなポテンシャルがあるのかを
押させておく必要がある。
なので、実習生がやってくる前に
そのポテンシャルを探る調査を行う必要がある。

これまでの10年は
大学院時代の友人にお願いしてその調査を行ってきた。
しかし、この10年でそれをお願いしてきた
彼女の生活環境も変わり
今は東ジャワの大学に務めるようになってからは
スメダン近辺での調査にかなり負担が生じるようになっていた。
彼女自身はこれからも調査に協力してくれると
ありがたい言葉をもらっているが
今後はポテンシャル調査だけではなく
もっと専門的な相談役が必要となり
新たに人を探すことになった。
ただ、これまで調査してくれた彼女も
もちろん今後とも協力を別の形で仰いでいこうとは思うけど。

それで
恩師のメラニー先生に5年ぶりの連絡を入れたのが
きっかけだった。
ボゴール農科大学大学院には
国内留学としてさまざまなインドネシア内の大学の
先生たちが学位を得るためにやってくる。
メラニー先生はその大学院の先生だったので
(現在は学部生のみに教えている)
きっとバンドゥン近辺の大学の先生とも
交流があるに違いないと思い
連絡を入れた。
5年ぶりという不義理にも拘らず
温かいメールを何度かいただき
最後には、
「OK、その仕事、私がやるわ」と返事をいただいた。
そうして一緒に現地をまわることになった。

メラニー先生は
東ジャワのマラン出身で、
専門は環境人類学。
開発と環境に視点を置き
その分野のジェンダー研究の専門家だ。
アメリカで学位を取り、
インドネシア社会学の英雄サヨグヨ教授の教え子で
サヨグヨ研究所のスタッフでもあった。
容姿端麗で実は
僕が大学院の頃は
彼女を「フェアリー」などと仲間内では呼んでいた。
僕の今の視点の根底を作った
ノーマンロングに出会わせてくれたのも彼女だった。
奇しくもそれは妻・小國と同じ研究分野になったのだが
僕はノーマンロングからエージェンシー(行為能力)論を抽出して
人の行動力向上に関心を強めた。
これが実は
今の技能実習生たちのビジネスプラン指導や
農園たやの経営に使われている
僕のセオリーの根底である。というのは余談。

さて、そのメラニー先生。
大学院を出てから14年の歳月が流れたが
先生はまるで昔のようだった。
美しさもそうだけど、それ以上に
頭の回転の速さにぜんぜん追いつけなかった。
昔からそうで、
何を議論をしていても彼女の知識の海に溺れてしまう。
読んでいる文献の量が違いすぎるんだと思うけど
農業分野でもなかなかついていけなかった。
勉強不足も実感したのは余談。

さて
ポテンシャル調査を行うことが
今後のタスクの一つだけど
それ以上に
一番は、今の彼らの営農スタイルに対するアドバイスを
僕は期待している。
事実彼女と一緒に卒業生の圃場をまわったのだが
技術的な部分は直接アドバイスはできないのだけど
彼女の知り合いの篤農家や
大学の先生たちを卒業生たちに紹介してくれていた。
また今進行中のコーヒーのプロジェクトは
メラニー先生の周り(IPB)でも盛んにセミナーが行われているようで
その紹介でもコーヒー栽培をしている卒業生と
盛り上がってくれていた。

卒業生たちの専門的な問題を解決する窓口に
メラニー先生がなってくれれば、と思っている。

さらにもう一点。
こっちの方が大事かも。
それはこれから受け入れるであろう
女性の実習生についてである。
農園のプログラムは帰国後に地域リーダーとなる
人材を育てることにある。
女性が農村部のどのような分野で
けん引していける存在であるのかを
僕らはイメージして研修をしないといけない。
スタッフの立崎がすでに農村部の女性のインタビューを
始めていて、それなりに報告を受けているが
今後メラニー先生の専門であるジェンダー的視点でも
この議論を開始したいと思っている。

気軽に相談できる先として
卒業生たちに定着してくれると嬉しいのだけど。
あと共同研究や共同執筆、日本からのスタディーツアー受け入れや
フェアトレードビジネスなど一緒にやっていきたいと思っているけど
まず何から始めようかねぇ。。。




このくそ忙しい最中、
インドネシアに出張する。

スタッフも
税理士も
JICA基金の担当者も
多分みんな思っている。
なぜ、この時期なんだって。

今回の出張は
僕だけでなくいろんな人の日程を重ね合わせた中で
練り上げられた予定なので
もはや僕一人で
どうこうできるレベルではない。

今回のメインは
現地修了生たちと組織する
耕志の会インドネシア支部の総会である。
JICA基金で小規模コーヒー栽培を組織化し
活動もそれなりになりつつあるが、
予算や次年度の活動をしっかりと話し合う必要がある。
さらに
マイクロクレジットとして準備積立している、
耕志の会福井本部の口座の残金の確認と
その運用方法をみんなで確認したい。
あわせてその目的のために配置した
ローカルスタッフについても説明したい。

もう一つのメインが
僕がボゴール農科大大学院でお世話になった
恩師メラニーさんをこのサイトに案内することである。
インドネシア留学の修論指導でお世話になったメラニーさんに
現状を見せ、アドバイスをもらいつつ
なんとかボゴール農科大学をこのプロジェクトに
係わってもらえないかを狙う。
小さなプロジェクトでお金にもならないので
過度な期待は禁物だが
スタッフ立崎のいう女の子の農村リーダーという意味では
メラニーさんは農村ジェンダーの専門家なので
その辺は進展があるのではないかと期待する。
ただ、担当教官との農村ツアーは
何年、何十年経とうとも
かなり緊張するし、いつもの100倍も気を遣う。
かなり疲労困憊になるとの予想。

そこへ追い打ちをかけるように
農村調査として修了生のサイトを4か所訪問予定。
タンジュンサリ農業高校の校長先生にもアポをいれてあり
今後の派遣についても相談する。
とくに来年は新卒を採用するのだが
タンジュンサリ農業高校が求める人材像も
その採用の基準にする予定なので
きっちりと議論してきたい。
さらにさらに立崎の日本野菜栽培の活動に
僕がどうもレクチャーをする予定らしく
その準備が全く出来ていない。
たぶんこれは飛行機の中ですることになるだろうな。

さらに大事なのは
日本語学校のリサーチ。
ここがブラックボックスで
技能実習生が多額の借金を背負う場所。
ここに今回初めて調査インタビューをする予定。
何が出てくるのかは
行ってからのお楽しみ。

帰国直ぐに福井農林高校でのプレゼンを抱えていて
さらに俳句誌の原稿と俳句新聞の原稿と
毎日新聞の原稿とが、帰国直後にほぼ同時に締め切りを
向えるが、それらは一字も書けてない。。。
のは余談。

中三日でこの予定。
前回も現地で医者にかかったが
今回もたぶんそうなるだろう。
前回の診察カードも忘れずに鞄に入れたから大丈夫。
さ、明日早朝から出張だ。



田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
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(アットマークを@に置き換えて送信ください)

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