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俳句ってなんだろう。
575の単純な詩形。
季語の5音が入れば
自分で自由になるのは12音程度。
だから
誰でもいつでも簡単に作れる。
だのに
納得いくものは簡単に作れない。

で、納得いくものが作れた時は
まぁ、人の性というか
それが人間というか
他人の評価が欲しくなるもの。
最初は上手じゃないから
そんな評価なんてと
思っているんだけど
慣れって怖いね。

少しいい評価を得ると
その次、その次ってなる。
また俳句にかぎらず
人間が作る社会の構造は
そういう具合に高みに向かって
さまざまな賞や評価を用意してある。

するとね、
ちょっと困ったことが起きる。
それは
傾向と対策を練り出す自分が生まれだすってこと。
この先生はこういう句を取りやすいとか
この結社はこういう志向で句作しているとか
この賞はこういう傾向があるよねとか
そうなってくると俳句って
なんだって思うわけで。
それは俳句に限らず
人が作り出した社会のすべてに
臆面もなく表にどーんと居座っていて
それを登りつめていくゲームに
いつの間にか参加させられている自分に
気がついたりする。
その自分が
清々しく頂上を目指すように
句作していると思えている方なら
たぶん幸せな事だと思う。

P1120212.jpg


テツコは
僕が「いつき組」にいる時の俳号だ。
冗談のような俳号で
最初は冗談のような俳句を作ってた。
結社では作らないような
そんな俳句を気兼ねなく作ってた。
先生の添削もないし
型も気にしないし
いつき組の
自由な空気が楽しい。

でも
そのいつき組でも
いろんな賞があって、
それが切磋琢磨の場となっていて
楽しい。
これも俳句の楽しみなんだろうね。
そういう賞は
組長は「グリコのおまけ」だという。
そんな程度だと。
うん、そう思う。
そう思うようにするけど、
おまけ、どうしても欲しい自分もいたりして
それがなんだかいやだったりもして。
最近、テツコのくせに
天を狙ってやろうとか
そんな欲に染まってきて
今まで詠んだことのない自由な句作ではなく
あれこれと「田谷徹」が身に着けた
技術やら何やらを持ち出して
575を加工し出した。
なにやらテツコの末期症状のような
そんな感じだった。

それが
坂井市の句会ライブで
少し和らいだ。
句会ライブとは組長たちが
イベントとして句会を大人数で楽しむために
考え出した形式。
良くできた流れと話術で
俳句を作ったこともない素人が
その場でホイホイと一句詠んだりしてしまう。
それどころか佳句がポコポコ出てくるから
もうびっくり。

初めての句会ラブだったが
この句会ライブの一番の味噌は
特選として選ばれた7句の鑑賞だろう。
これがたまらなく楽しい。
17音しかないからいろんな読みが出来るのが俳句。
しかも俳句にあまり慣れ親しんでいない人は
鑑賞のお作法というか
その形式もほとんどないので
というか鑑賞の定形文みたいなものを知らないので
それぞれが自由の俳句を鑑賞して楽しむ。
それがとても良い!

今井聖さんが以前NHK俳句で
「あなたにとって俳句とはなんですか?共感ですか?」と
問いを発した時に
たぶん、それはその共感を否定されたのだと思う。
そういう句作もあるんだろう。
田谷徹はそれをこれからもやるんだろうと思う。
自分にしか詠めないというか
自分の手の中にあるこの農の営みという実感を
言葉に落とし込みたいという欲求。
それがこのブログのスタートでもあった。
人にはそういう欲があるんだから
しょうがない。
あっ、でもその欲は結局は
この実感の共有という共感なんだろうけどね。

ただ、そのライブ感というか
句を通して感じる
文脈を楽しむ、この日本語独特の感性を
もっとポップに思い出しても良いと思った。

テツコはもう少しテツコらしく
俳句を作りたいと思った句会ライブだった。




NHK俳句の選者が替わった。
1週目は今井聖さんになった。
その人が
ゲストの女優さんに
「あなたにとって俳句とはなんですか?共感ですか?」
と問うていた。

この言葉は僕にも強く刺さった。
句会で楽しいのは
みんなが自分の作った句で
さまざまな想像を膨らませてくれて
沢山自分の句に点数が入った時だ。
俳句大会でもそうだ。
誰かに取られることで
共感が生まれる。
人とつながるから、
こんな時代だから、
こんなにダイレクトに
世代も性別の越えてつながる
そのダイナミズムが
愉しいと純粋に思っていた。

それを今井さんは
否定しようというのだ。
僕にとって俳句はなんだろう。

共感に走ろうとすれば、
ついつい
こんな句はみんな好きに違いない
というよこしまな考えが出てきて
得意の傾向と対策を考えて
先行事例の俳句とその組み合わせを分解して
あれこれと頭でひねった俳句を
創ろうとしてしまっていることは
事実だ。
だって、句会や俳句大会で
沢山点数がほしんだもん!

ということで、
どうも僕はゴミのような
俳句作りをしようとしていたことに
今井さんの一言で気が付いた。
小手先の共感は
それを得ようという相手にも
確かに失礼だな。

でも、
同時に共感それ自体は
やっぱり否定はできないんじゃないのかな。
誰も思いつかない感覚と
視点で人をあっと言わせるような表現も
それはあくまでもある程度
人々のぎりぎりの共感の上に
成り立っているわけだし。
自己表現の自由な詩形で
生活世界を短い言葉で
とどめようという試みは
僕らの本能的に備わっている欲望だと思う。
そして社会という
特有のつながりを作る僕らは
ここでも人とつながることを
根底に欲している。
それが、僕は今
俳句だと思っている。
今井さん、
僕は俳句は共感だと思います。


田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
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(アットマークを@に置き換えて送信ください)

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