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今年から始まった耕志の会のマイクロクレジット。
1回目の募集では、
レンディとクスワントがプロポーザルを提出した。
それぞれに卒業生や今いる実習生からの質問攻めに耐え
無事承認された。

クスワントの事業費が約8万円。
レンディの事業費は約24万円。
ローカルスタッフのタタンとも
両氏の事業のリサーチをどのようにしていくかも確認し、
先日無事送金し、現地口座で入金が確認できた。
いよいよ始まる。

今回のマイクロクレジットは
正直言って穴だらけだと思う。
プロポーザルの作り方や
返済金の管理から計画まで
問題が山積だ。
利子が無いというのも問題だとは思うし。
ただ
実習期間で貯めたお金だけでは
投資としては不十分というのも
この10年彼らの生計調査をしていてよく解った。
卒業生のほとんどが
それぞれの生計を安定させてはいるが
農村でリーダーとなるには
次の投資を必要としているのだ。
経済成長著しいインドネシアで
農村部での少額クレジットが
今後民間や政府でどこまでなじみやすいサービスが
出てくるかは注視していかないといけないが
同時に、僕らはアジアの成長を
一層推し進めていく必要があるし、
またそれらを僕らの成長にもつなげていかないといけない。
その一つが実習修了生へのクレジットだと思っている。

入金を確認した彼らは
さっそく計画に沿って動き出す。
今後はローカルスタッフの調査で
その動きを追っていきたい。




関連記事
インドネシア実習生向けに
農業構造論という授業をしている。
こういう学問が他にあるかどうかは
不明だが
僕がボゴール農科大大学院で学んだ社会学の基本と
農村や農業をどのような視点で理解すべきか
というそれらの学問を自分なりに統合して
こうした科目を作って教えている。
この学問の中身がどんなものなのかは
以前のエントリーに譲ろう。
参照「運命を変えたいなら」

さて
その中で人的資源について。
人的資源といえば、「教育」という具合になるが、
これでは人的資源の全体の1/3くらいしか言えていない。
教育が人的資源の向上になぜつながるのかを
説明していない。
無条件でそれを信じて
その流れをブラックボックス化してしまえば
形骸化を許すことになる。
なぜ教育が人的資源の向上につながるのだろう。
こんな問いを立てながら
授業は進んでいく。

この問いに答えるには
教育の二つの側面に目を向けないといけない。
個人の能力向上と
社会の評価向上の二つだ。

教育の本質は
考え方の訓練を受けることだろう。
セオリーはある意味スポーツや武道の形のようなもので
その形を反復して体や頭に覚え込ませることで
そのような動きが出来るようになる。
セオリー(理論)とはそういうもので
そういう視点と考え方と情報処理を学ぶ。
これは、個人の能力向上といえるだろう。

さて、教育のもう一つの側面に
社会的評価がある。
社会的評価の高い学校を卒業していたり、
セミナーを修了していると、
社会的評価が高まる。
それどころか、本質であるその教育を受ける前段階ですら
社会的評価は高まる。
いい高校や大学に合格しただけで
まだその高校や大学がもつ
真の意味での訓練を受けていないにも関わらず、
社会はそれを高く評価したりする。
これは
教育の個人的能力向上とは別に
社会的評価が大きな影響を持つ事例と言っていい。
だから
個人的能力を担保するのは
本当はどこどこ大学卒業なのだろうが
履歴書に
どこどこ大学中退なんて書くのは
その社会的評価への期待なんだろうか、というのは余談。
ただ難関学校の入試を潜り抜けたという意味での
そこまでの訓練(教育)を評価する面もあるので
ある程度は有効か。

さて、
ここまで書くと
学歴だけが人的資源じゃないだろう、と思われる方も多いだろう。
その通り。
いい大学出ててもダメなやつはダメで
学歴はただ個人的資質以外にも
家族や金銭などの環境の影響も大きい。
教育だけでは個人的能力やその個人に対する社会的評価は
測れない。
つまり経験や肩書、受賞歴なども
人的資源の向上に強く結びついている。
ただ社会的評価は
社会がそれを認知できる形で
存在している経験や肩書などに限られる。
返せば、それは認知されなければ
個人的能力の向上につながる経験であっても
その社会的評価には直結しないということでもある。
僕はここが鍵だと思っている。
認知される、また経験の見える化が
自己のマネジメントとして必要があるということも
彼らには理解してほしい点である。
そういう意味では9期生のレンディの
帰国前の発表であった
「スマートリーダーになりたい」という宣言は
よくこの部分を理解していたのだろうし、
帰国後一気に集落長に成り上がるのだけど、
それにはトウガラシ栽培での素晴らしい成功があり
それを集落の重鎮が認めたことによるところが大きい。

帰国した後の自己イメージのマネジメントは
とにかく成功するしかないが、
日本にいる間に
できる事も本当はたくさんある。
日本にいるという状況がすでに
彼らの日常ではないし
ここで見るもの聞くもの食べるものすべてが
非日常で
その文脈を社会がどう判断するのかを
捉えられたら
どんな情報をSNSでなすべきか
自然と見えてくるはずだ。
が、さてどうだろうか。




関連記事
先月のインドネシアでの総会後、
勉強会が復活した。
(その時のエントリーはこちら)

3月の勉強会はデデで
帰国したばかりという事もあり
日本での研究発表をそのまま行った。
4月は昨日29日に開かれ、
1期生のヘンドラが発表した。
本当の意味での勉強会復活第一回目と言っていいだろう。

再開するにあたって
会場は必ずしも彼らの母校
タンジュンサリ農業高校でなくても良いことにした。
発表者が発表したい場所にすることで
仕事の合間や
ちょっとした時間でも行えるように配慮。
参加者もグループチャットのテレビ会議で
参加する形式もOKとした。
とにかく続けられるように、との配慮だ。

ヘンドラの発表は
有機液肥の作り方だった。
バナナの木を利用して
米のとぎ汁と黒糖を使って発酵させた
有機液肥で、製造に2週間と時間もかからず
コストも安いことが魅力の方法だった。
質問では、製造についてや散布方法などに
集中していた。

こういう資材を検討する場合
まずヘンドラ自身がなぜこの資材を利用しようと
思い至ったか、そこが大事になる。
コーヒー栽培に利用するとのことだったが
収量増加か、品質向上か、
有利販売か、生産コスト削減か、
そのいずれに彼の期待値があるのかが
大事になってくる。
僕の質問で彼は、生産コスト削減の期待値が高い事と
有機コーヒーの場合、有利販売が出来ることへの
期待値が高い事を説明してくれた。
だとすると次は
実際に有利販売の価格差が、
生産コストの増減で、より利益が手元に残るかどうか、
そこを計算して判断する必要がある。
有利販売にどれくらい差があるのかという質問に
ヘンドラは高くるれるらしいという
噂の域を出ない答え方で終始した。
生産コストの計算は、その散布にかかる道具や
人件費まで含めなければいけない。
有機資材の利用の場合、散布量が多くなることや
散布の手間がかかることも多いので
人件費が慣行農業よりも高くなる傾向がある。
それについても今後の計算すると
ヘンドラは答えていた。

日本でもそうだが
農家の情報の多くは
どうしても「これだけ良いものが取れます!」だったり
「こんなにたくさん取れました!」に終始する。
だが、自分たちの市場は
その有利を指示するのかどうかと
その取扱いによるコスト高は
あまり喧伝されない。
有機農業ブームのインドネシアでは
特に冷静な経営判断と自分にとって無理のない
経営戦略にそった営農が求められる。
本当は
そこをしっかりと分かってほしかったのだけど
なんとなく僕がケチつけたような
終り方になったのは残念だった。
外国語で議論することのむずかしさもあるが
それよりも議論することで
相手も気持ちよくその指摘を受け入れられるような
話し方がより難しく思う。
勉強会は、僕にとって
その課題を乗り越えるための修業の場だと思っている。
もっとインドネシア語を磨くことと、
伝えるための単語選びを厳選しないといけないと
痛感した。
いい勉強会だった。



関連記事
先月の出張で
技能実習修了生たちと総会を開いた。
その中の議題の一つに
余剰金によるマイクロファイナンスの実施があった。
その詳しい過程は以前書いたエントリーに譲ろう。
耕志の会インドネシア総会

さて、
その後、3名からマイクロファイナンスに対して
プロポーザルを提出したいと申し入れがあった。
クスワント(4期生)、イラ(5期生)、レンディ(7期生)で
イラは他の資金の目途がついたので結局
プロポーザルの提出は無かったが
クスワントとレンディから提出があった。

クスワントの事業は
カフェ事業である。
インドネシア全土は知らないけど、
少なくとも今西ジャワ、
とくにバンドゥン近辺はカフェブーム。
コーヒーブームもあってか、
タンジュンサリの田舎町でもカフェが沢山出来ている。
そして実はクスワントは
日本にいる時から将来のビジネスとして
カフェを開きたいと言っていた。
丁度日本で実習している時に
今の奥さんであるハナちゃんが
料理学校のお菓子コースで勉強してたこともあり
「いつかは二人でカフェを開きたい」と言っていた。
その月間レポートは今も大事に保管してある。
だから彼から提出されたプロポーザルが
カフェ事業だったことに、僕は感慨一入だった。

実は彼はちょっと前まで
タンジュンサリ農業高校で軽食屋も経営していた。
そこそこ儲かる仕事だったのだが
家族の事情で続けられなくなり
現在はその分の収入がない状況だった。
軽食屋に比べて事前の準備が少ない点や
小さいスペースでも運営できることもあり
また彼の夢でもあったカフェということで
ゆくゆくは自分の栽培しているコーヒーを
独自ブランドとして売り出したいとも思っているようで
今回の申請となった。

もう1点はレンディ。
破竹の勢いとはまさに彼のことで、
帰国してまだ3年目なのに
選挙で勝って集落長になったり、
農業ビジネスで成功して乗用車を買ったり。
正直、彼にそんなに才能があるなんて
僕は見抜けなかった。
その彼の申請してきたビジネスは、
お茶の育苗所だった。
彼の住む場所は高地でお茶の産地。
お茶なんていくらでも育苗していそうなものだけど
どうも事情が違うらしい。
お茶の育苗はとても簡単。
お茶の枝を挿し木すれば
それで苗が作れるので、誰でもできると言えばできる。
しかしレンディが目を付けたのはそこじゃなかった。
政府から発行される普及種ラベルの付いた
お茶品種を育苗するというビジネスだった。
このラベルは原種を管理している政府機関から
原種を普及種に栽培を許されている農場だけが
栽培を許されており、さらにその普及種も
特定の農場だけがそこからさらに普及種を栽培できるという仕組み。
これは日本の種子法でも定められているものに近い制度。
ちなみに僕は青年海外協力隊の時に
落花生優良品種普及事業として
この仕組みに係わったこともある。
一般農家では
まず普及種生産圃場の許可は手に入りにくい。
だからこそ、そこには大きな利権があり
そこに参入さえできれば
大きな商売になる。
で、どうしてレンディがその商売の利権に
食い込んだのかはまだ詳しくは調べてないが
彼にはそういう才能があるらしい。
(詳しくはこちらのエントリーへ

とはいえ、
すでに飽和しているようなお茶ビジネス。
どこにそんな市場があるのだろうか。
そこはレンディの抜け目ないところだろう。
コーヒー栽培は雨に弱い。
大雨が来ると花芽が落ちて実の収穫量が極端に落ちる。
2016年と2017年は同地域の雨季は長く
2年連続でコーヒーの収穫は皆無だったらしい。
コーヒーは1年に1~2回収穫されるが
花芽が落ちれば、収量はゼロになるリスクも高い作物。
その点、お茶は毎月少しずつ収穫があり
天候に左右されても全体では大きく崩れない。
政府系の工場が買い取ることもあって
価格も年間通して安定してる。
レンディは日本で貯めた資金で
コーヒーばかり作っていた地区に農地を買って
その一部でお茶栽培を作り始めた。
そしてそのようにリスク回避をするレンディを見て
その地区の農家はお茶栽培に今
乗り出しているのだという。
そこへレンディは安い品種も分からないお茶苗より
政府が発行する普及ラベル付きの
お茶苗を生産してその地区等に供給するというのが
今回の彼のビジネスプランだった。
すでにトライアルを終えており(昨年の10月に僕も調査した)、
計画も綿密で
必要資材も細かく計算されていた。
経験上苗の2割が損失することも計算もされていたし
それでも十分すぎるくらいの利益をえる計算だった。
日本でのビジネスプラン作りが活きている。
と自画自賛しておこうか。

さて
これらプロポーザルは
今から1週間
実習修了生のFacebookのグループメッセージ欄に
アップされる。
それを読んで、1週間の間
ビジネスをそれぞれ行っている修了生たち猛者が
そのプランを徹底批判する。
それに耐えれれば
インドネシア側での審査は終了だ。
日本ではそのプロポーザルを僕が簡単に説明し
皆からも意見をもらって
問題なければGWごろに資金をインドネシアに送る。
いよいよだ。
もうすぐ、次のステージのあたらしい事業が始まる。
その資金管理は、ローカルスタッフのタタンが担う。
これで技能実習の最終形にようやく突入する。

関連記事
技能実習生を受け入れしていて思う事。
TPOに合わせた服装ができるように
なってこそ一人前だということ。
特にインドネシアでは、このTPOが実はうるさい。
だのに、日本はどこかそういう部分がなあなあで
その空気感が、本来きちんとした服装をしているはずの
インドネシアの実習生にも悪影響があるのかもしれない。

それは、正装を持っているかどうかの話。

日本に働きに来るので
実習生の中には、作業服や私服しか持っていない子も
入るかもしれない。
でも、社会の中で暮らすという事は
冠婚葬祭の場面にも出くわすこともあるということなので
その場面での服装が出来ないといけない。

僕が大学院に通ってた頃は
ジーンズ、サンダル、Tシャツは授業に来ていく服装としては
完全にNGだった。
会議は襟付き長袖のシャツが最低条件。
スニーカーはNG。
冠婚葬祭になると、もっと厳しい。
そのシーンに合わせていろんな格好をしないといけない。
ただ外国人の旅行者だとそこが少しゆるく
あまり言われないのだろうけど
そこに住んでいると、同級生や先生や
ホームステイ先の家族からチクリと指摘を受けたこともあった。

事実、僕もインドネシアへの出張中は、
ややいい加減な格好をしている。
本当はNGなんだけどね。
服と靴で荷物が多くなりすぎるので
ごまかしているけど。

さて
11期生のフィルマン。
彼はインドネシアの正装であるバティックを
持って来日したのだが、
それが半袖というところに問題があった。
それだと冬の冠婚葬祭に着ることが出来ない。
日本に四季があることはぼんやりと分かっているのだけど
でも癖で半袖のバティックを持参してしまったというわけ。

そこで長袖のバティックを手に入れるように勧めたのだけど
なかなか聞き訳がなく
最近それで少し揉めている。
あまり言うとパワハラになるのかもしれないが
一般的な常識として
服装を準備するのは大人のエチケットだろう。
事実、僕がインドネシアに留学していた時や
協力隊で派遣されていた時は
周りの大人から服装についてたしなめられたことは多々あった。
だから
僕もその時の恩返しをする意味で
ここは曲げずに
大人のエチケットとして
彼に正装を準備しておくことを
勧めていこうと思う。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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