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これとよく似たタイトルで
これまでもブログをあげてきたと思うけど
今また
この問いにぶつかっている。

技能実習制度を
真っ当な制度にしようとした議論で
実習生が自分たちの希望の職種と
同じ仕事場で実習できるように
マッチングすべきだ
という議論がある。

これには2つの暗黙がある。
一つ目は、実習とは技術の移転の場であるということと、
二つ目は、希望の職種が
帰国後の仕事に直結している
という暗黙である。

ただ、本当にそうか。
まず二つ目の希望の仕事だが
大前提として実習生にとって
日本で働くのは出稼ぎが目的である、ということで
希望の仕事は必ずしも将来の仕事とは直結しない。
若者がかちっとしたプランを立てて
進路を選んでいるケースで
将来が決まっていることは稀で
それはその想像力の範囲でしか
プランニングできないという
人間の認知の檻から出られないからでもある。
ま、平たく言えば
若いほど世の中が見えないので
そのころに立てたプランのお粗末さは
自分の若い頃を思い起こしてみれば
大抵納得いく話だろう。
たとえ実習生が
これかな?と思っている職種があっても
その「これかな?」は状況と得られた経験値などから
簡単に変化する。
また効率よく出稼ぎをしたいと思う実習生も多いことから
人気の職種は
「室内で残業の多い仕事」らしい。
これはもはや職種でもなんでもなく
労働環境でしかない。
バブルがはじけた時代に大学生をしていた僕の時代は
みな安定志向で公務員であれば
何でもよかった時代でもあった。
実習生だけを笑うことはできない。
仕事の探し方なんて
たぶん時代や文化で多少の違いはあれども
こんな程度なんだと思う。
僕も青年海外協力隊にさえ行けば道が開ける
という程度でしか参加していなかったし。

就きたい仕事に就けないのは
外国人だけではないので、
マッチングというのは
大人のいらぬお節介かもしれない。

ただ仕事場を変えたいという時に
もっと簡単に変えられる制度はあってもいい。
結局都市部に流れるだけだ、というのなら、
転職できるエリアは限定してもいい。
人間関係の拗れは
国内外関係なく起こりえることで
仕事場を変えられないのは
実習生にとってかなり不都合だろう。
というのは余談。
というか、これが本命の解決策のような気もする。

次に技術移転。
この神話はなかなか崩れない。
技術が移転されるとする場合、
二つが想定される。
一つは技術が存在する状況や構造が同じで
それらの状況と構造を整えれば
その「技術」が役に立つ場合。
例えば僕が石川の農家を見学して
そんなやりかたがあったか!という技術があれば
明日にでも同じような機械や道具を用意して
その導入が可能となる場合だろう。
これが国をまたぐとどうだろうか。
その状況を整えらえるだろうか?
農園の特定技能であるダダン君は
福井県内の乳牛農家をインタビューして
乳量の決め手は餌の回数と
餌の質だと知ったのだが
回数は、何とか給餌の回数を増やせばできそうだが
いつまでの消化できない稲わらなどは
やらない方が良いと言われても
手に入る餌がそれしかない場合はどうだろうか?
餌の質もその農家がおすすめしてきたのは
海外からの飼料キューブで
それはインドネシアの農家では手に入らない。
インドネシアの農家は技術的に遅れている
と決定的に言えるわけではなく
ただそのインフラや揃えられる資材に
差があるだけかもしれないのだ。
次の技術移転が
意図していない技術移転の場合。
もともとの技術の方向性としては
違う方向性で伝わったり使われたりする場合。
トンネルを掘るためのダイナマイトが
戦争に使われたり、などがそうか。
インドネシアのマランのリンゴは
導入された当初は花が咲かず
実がならなくて、それでしょうがなく
枯らす目的で除草剤をかけたら
落葉ストレスから花芽が形成され
花が咲いて熱帯でも(高原だけどね)
実をつけることに成功した。
これも本来の目的とは別の技術の使われ方と言っても良いかも。
で、大抵の技術移転論者は
この2番目のイレギュラーな伝わり方を嫌う。
ま、技術屋さんならさもあらんだね。

なので、意図した形で技術移転を試みても
同じような状況を作り出せないので
そもそも意味がない。
可能性としては意図しない技術移転の方だけど
それを技術移転する現場で
故意にその方向性で研修することは
不可能だし
やる側のプライドとして許さないだろうね。

そんなこんなで
技能実習生に職場マッチングを
しようという努力というか議論は
ま、日本側の都合でしかなく
そこに参加する人たちの目線ではないという点で
お粗末でしかないと言いたい。

これでも
技術移転論に
とどめが差せないのだから
みんなの頭にこびりついている
常識ってやつの生命力のすごさに感心している。
かなり偉い人でも
この技術移転論は
平気で言ったりするので
本当びっくり。

さ、ねるか。



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気を抜くともう次の月になっている。
ブログの更新が
最近滞っているのは
やることがとてつもなく
多くなってきたから。

その一つが
技能実習生に対する
新しい試み。

それについて
今月の最後に
こういう勉強会で話をする機会を得た。

その様子はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=3X-EN5zfWJo

ここでの議論の肝は
現行の制度をどうのこうのっていう話ではなく
ここに参加する人たちのリアリティーを
その立ち位置から眺めて
出来ることってあるよねって話。

ロバートチェンバースの
Whose Reality Counts?の話。
読んだことのない方はぜひ。
これ読んで当たり前のことが書いてあるって
思ったなら
あなたはたぶん全然わかっていない、と思う。

技能実習生の話は
日本の文脈で考えるよりも
この制度に参加する
それぞれの国の若者の視点で
そのリアリティを一緒に見ることって
出来ますか?って話のような気がしている。



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多くの方とのご縁とご協力を得て
2020年から温め続けてきたある計画が
ようやく日の目を見ようとしている。

それは農園がこれまで受け入れた技能実習生たちに
指導してきたビジネスプラン作りのノウハウを
農園外の技能実習生にも
広げていこうという試み。

労力も費用もかなりかかるため
この案件をJICAの草の根技術協力というスキームに
応募していた。

この度、最終審査の結果
『技能実習生の帰国後就農・起業支援を通じた人材還流促進プロジェクト』として
採択を受けた。

この枠組みが出来たことで
いよいよいろんな方と一緒に
技能実習生の問題に向き合うことが可能になった。
インドネシアの送り出し機関に
受け入れ農家そして監理団体、
インドネシア農業省や
技能実習修了生の会も。

日本という場所を
技能実習生にとって
本当の学びの場所にする。
それがこのプロジェクトの
目的の一つ。

大変なことが始まることになるのだけど
たぶん、なんとかなるでしょう。
明日は明日の風が吹く、だから。



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2019年秋に
タンジュンサリ農業高校で
ちょっとしたプレゼンをした。
それはこれからの外国人材の派遣について。
農業高校なのに間にブローカーが入っていて
派遣が自在ではないことや
農業高校の日本の高校との交流が
行政の縦割りで予算付けされなかったりと
一所懸命やっている農業高校が
マージナルに置かれている事態を
なんとか打破したい、
そういう想いでの提案をした。
自分としては、そういうことを率先してすることに
やや抵抗感があったが
その抵抗感も所詮、個人的な嗜好に過ぎないと
思えば大したことはないし、
そんなことにこだわることもない。

その時に提案したのは
タンジュンサリ農業高校と一緒に
外国人材の送り出し機関を立ち上げることだった。
立ち上げの資金は
僕の個人的なお金を提供することを約束する代わりに
土地や建物を出来るだけ用意することと
立ち上げにかかる手続きの一切を
やってもらうことだった。
送り出し機関を持てば
うち以外の企業と契約を結べば
他にも実習生を送ることが可能になり
卒業生の多くが希望する日本行が
より実現する。
さらに送り出すことで出た利益を
学校に寄付して
日本への交流使節団の派遣資金に
当てようというのが
この計画の肝だった。
高校生のうちに国際感覚を身に付け
海外(日本や韓国や台湾)の非道な大人たちに
騙されない知識と意思を持つ教育を
こうした農村部で行う必要を感じたからである。

この計画は
タンジュンサリ農業高校の幹部に大いに受けた。
国家公務員で
地方と言えども名門のタンジュンサリ農業高校で
幹部を務めている先生たちの
動きは速かった。
2020年の秋には、
スンダ王家の名前と僕の名前を冠した
教育法人を立ち上げ
その傘下に職業訓練校を立ち上げた。

しかし、送り出し機関として認定を受けるためには
インドネシア国内法の制約を受け
一筋縄ではいかなかった。
結果から言えば、現在も技能実習生の送り出し機関として
インドネシア政府から認定は受けていない。
これをクリアーするためには
今少し投資が必要になる。

2021年、その風向きが社内で大きく変わる。
コロナ禍で技能実習生が受け入れられなくなって
社内では今後の外国人材についての議論が
僕や業務担当者(立崎)の間で活発になった。
技能実習生のハードルが高いのならば
2019年の4月より始まった特定技能として
インドネシアの子を受け入れられないか。
そんな議論が始まり
その道に詳しい人の助けもあって
一気に特定技能としての受け入れが
現実的に計画された。

まず手始めに
現在いる技能実習生のビザを
特定技能へ自社申請して切り替えをするというミッション。
福井入管では、自社申請は初めてとのことで
特定技能を派遣する業者からも
「行政書士さんを通さないと出来ない」
などと怪情報もあったが
なんとか上記の写真の通り
技能実習生から特定技能への切り替えを
自社で行えた。

手続きを進めていく中で気が付いたことは
この特定技能という制度は
外国人を労働者として扱おうという姿勢だった。
報道や周りの意見だけを聞いていると
特定技能は技能実習生の延長という感じだが
自社申請をしてみると
監理団体から自由になることと
OTITのような実習生を管理している
非人間的な組織からも管理されなくなり
より自由になること、
そしてそれ以上に外国人材が
より自由に職場を選べるようになる権利があり
インドネシア人にとって
労使交渉が今以上に有利になるという点が
とても魅力的だった。
技能実習生の出口をと思って
ビジネスプランの指導法を
広めようとしていたが
技能実習生をすべて特定技能へ
移行させることができれば
多くのブローカーを排除できることに気が付いた。
今、特定技能を派遣している
特定技能支援団体として登録している
技能実習の監理団体もたくさんあると思うが
これは
今、僕らがやろうとしていることで
その多くが消え去る運命にある。
もっと真っ当なことで
僕らは競争したいし
そのバトルフィールドを
構築することが僕らの仕事だと思った。

そこで、
新しく現地に作った職業訓練校では
技能実習生ではなく
特定技能でインドネシア人を送り出す計画に変更した。
それが2021年の秋。

日本語授業20220222

特定技能で送り出すには
日本語試験と
その分野の能力試験に合格する必要がある。
そこで日本語の授業は
僕の俳句仲間の日本語教師の方にお願いして
プログラム全体を監修してもらうことになった。
同時に農園の実習生でN3の日本語試験に
合格した子は、
職業訓練校と直接契約して
特定技能の候補者に日本語を教えることになった。
このプログラムが機能すれば
今年の9月には特定技能の資格を持った子らが
入国することになる。
それ以外に日本で働くにあたって
必要な資格も取ってきてもらう。
バイクや車の免許である。
より自由に
より普通に
より労働者らしく
より自分らしく
そんなインドネシアの子たちが
日本に労働だけでなく
自分というスタイルをもって
自分たちの権利と
自分たちの自由を
行使した労働の形を
僕らは受け入れたいと思う。

もう搾取するような
そんな形はやめようよ。
いい大人が恥ずかしいことをするのは
やめようよ。

と、思う。
ちょっと時間がかかったけど
ここからは一気に行くから
ヨロシク。

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ひょんなことから
全然関係のない技能実習生たちへの
ビジネスプラン作り支援を始めることになった。

インドネシアの農業省からの依頼で
現在、同省のスキームで派遣中の実習生たちの一部に
ビジネスプラン作りの授業を
オンラインで行い、
チャットで相談に乗るというもの。
インドネシア農業省とは
今後あるスキームで一緒に仕事をする可能性が高く
今回もその仕事を念頭に
同省から依頼を受けた。
ただ、まだそのスキームは確定ではないので
今回のこの依頼はボランティアでやることに。

こちらとしても
新しく手法化したビジネスプラン作りの10のステップを
試すにはちょうどいいという事もあり
依頼を受けることにした。
ただ、実習生とは違うスキームで
1年のみの日本滞在のため
10のステップのうち5のステップまでの
ショートカットプログラムに仕立て直して
行うことに。

月1回の授業で計10回の授業を
オンラインで行う。
五つのステップをクリアーすれば
ビジネスプランになるように計画した。

これから10月まで
少し忙しくなるだろう。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

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