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デデの試験結果について記録しよう。
この試験は、自分たちの未来のビジネスを
構造的に分析して、その妥当性をプレゼンするというもので
まぁ、大抵は肯定的にしか分析できず
弱点や先のリスクに気が付くことはほとんどない。
構造的分析ができれば
本当はそこが見えてくるはずなのだが
僕の教え方が悪いのか
これまでほとんど出来たためしがない。

しかし、今回デデは
僕の意図にずいぶんと肉薄したプレゼンをした。

彼は自分の地域の自然要因の高地気候と
政策要因のアグロフォレストリー政策から
国有地の農地転換を利用してコーヒーやお茶栽培を
基軸としたビジネスを考えている。
現在西ジャワ州はコーヒー栽培を州政府あげて進めているが
彼はそこには手を出さない。
それはキャッシュフローがお茶の方が早いからだという。
コーヒーは補助も多いが
年に1回しか収穫できず、1回の収穫期に失敗するとリスクも高い。
お茶はあまりお金にはならないが
回転が速く、年に何度も収穫ができ
雇用の維持の視点から言えば、お茶が断然有利と見ている。
金融要因のキャッシュフローを考えている点で、
彼くらいの若さを考えれば秀逸だし
実際の経営的センスからいえば、僕も断然お茶だな。

その中で、
これまでもその地域で栽培されてきた
トウガラシやジャガイモ、キャベツも栽培品目にあげていた。
これはそれだけ取引商人も多く、市場が豊富にあり
自分たちの販路に困らないからだという。
市場的要因もよく踏まえている。

ただそれではまだ発展的とは彼は見ていない。
従来の農法や農業経営の枠から出ておらず
価格的にはうま味が少なく
これだと規模の競争に陥るだけなのだ。
そこで最近、栽培が都市周辺から
高地などの遠隔地に移りつつある
アブラナ科の葉菜類野菜に目を付けている。
この辺りはダニとも一緒だが
デデは、
「この葉菜類野菜は、まだ取り扱う中間商人が居ないのがポイントです。自分がその商人になりたいと思っています」
とのことだった。
ブローカーたちは縄張りがある。
取扱品目や地域や取引農家や、
そういう縄張りがあって
それを越境して取引する連中は
よく暴力も含めて排除される。
だが、そもそもその品目を取り扱う商人が居ないのなら
そこはブルーオーシャンだ。

ただその品目を扱うにしても
資金や運送力が肝心になる。
そして肝心な生産扱い量が少なければ
卸の商人からは、そっぽむかれてしまうだろう。
彼は運送力は、ダニと一緒に車両を買うことで解決し
資金は自分の貯めたお金やお茶の上がりを当てることにしている。
彼は日本にいながらしてすでにお茶農園の投資をしていて
かなりの成功を収めつつあり
資金は大きくないが、まわしていけるだけの体力がある。

そして
生産物の扱い量だが、
彼は
「自分でもハウスを建てて、生産量を増やして自分の農産物を中心とした買い取り農家をしたいです」
とのノタマフ。
農園でハウスのマネジメントを直に見ている彼は
とにかく何回転できるかが勝負と言うのを
説明していなくても肌で感じ取っていたようで
現地での簡易ハウス建設費と
葉菜類の回転数と収穫量を計算して
自分の葉菜類の生産量を中心として
周りの農家を衛星的な位置づけとして
ひとつの大きなビジネスを作り上げようとしていた。
それは夢物語かもしれないが
多くの日本の成功事例の発端が
同じような生産農家が販売力を活かして
衛星的な農家を集め
販売業者(卸)的な役割を持つことで
大きく前進した事実を見れば、
彼の若さで、独自にそこに到達したその感覚は
すばらしい、というどころか恐怖すらあった。
実際に彼のプレゼンを聞いていて鳥肌が立った。

彼は、よく人の面倒も見る。
彼が3年生になってから
実習生たちのまとまりもよく
一緒に出かけることも増えている。
不平を言うよりも
現状をどうすればよくなるかを考え行動する彼は
いつも全体の中心に座ることのできる
雰囲気をもっている。
そんな彼が
真剣に考えて作ったビジネスプランは
きっと大きな影響をその地域に与えるだろう。

彼と一緒に仕事をする農家は幸せだろうな。
これまでにない満足感を
僕は彼のプレゼンを聞いて味わったのだった。


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今日は村祭りの日。
が、しかし、台風で中止。
木曜日の夜には中止が決まった。

でもね。
その時から天気予報では
この日曜日には
台風が過ぎ去ってしまっている予報だったじゃないの。
だから、中止にするほどじゃなかったと思う。
実際に、周りの集落では
にぎやかにお祭りがおこなわれているようで
祭囃子が聞こえてきたり。
うちだけなんにもないのは
やはりさみしい。

村祭りはもう昔のような意味合いは、
確かにここには無いけど
これのおかげで集落が集落として
維持できていることに
もっと目を向けるべきじゃないかと思う。
お祭りでもなければ
とっくの昔に離農して
普段は寝に帰るだけの集落になってしまっている人たちが
顔を直に会わせて酒を飲む機会でもあるのだ。

どういうプロセスで決まったのかは
問わないが
安易に中止としてしまったことが
悔しい。
暴風吹き荒れる中では
お祭りをするのは危険だけど
こんな小さなコミュニティなんだから
他の集落のように
ぎりぎりまで様子を見てもよかったじゃないのって。
杓子行儀で
スケールの違いを考慮せずに
リスク管理をするのは
やはりどこか間違っている気もするが
責任という言葉が
全体ではなく個人を攻撃するように
使われる昨今、
それくらいならやめちまおう、というその魂胆が
自治会や青年会や子供会の会長の
肝がちいせいぞ!と罵りたくはなるが
しょうがないという空気もあるのも
問題なんだろうなぁ。

加点式ではなく減点式の社会って
生きにくくなるよね。やっぱり。



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ちょっと記録が追い付かない。
書かないといけないことが多いのだが
俳句の締め切りに追われて、それどころじゃない。
で、その俳句も大した出来でもなく
なんだか悪循環。

さて、
ダニ君の2018年前期の試験について。
彼のプレゼンは、
まぁ、1年前に比べたら格段に良くなっている。
1年前の試験は
しどろもどろで何言っているのか分からなかったが
今回は自信をもって話していたのが良かった。
2年生になって
高校時代の同級生のアンギが
1年生で入って来てから
彼は急に伸びた。
ライバルがいるというのは
人を成長させるね。

さて、
ダニ君は基本的に論理的に
物事を考えるのが苦手だ。
だから彼のビジネス計画は
とても面白いのだけど
それを地元のリソースと結び付けて
説明するのがとてもヘタ。
というか、それ全然関連性ないじゃん!
ということを関連付けて説明するから
こいつはバカなんじゃないかって
ずっと思っていた。

でも違うのが徐々にわかってきた。
彼はとても身体能力に長けている。
体の動かし方がしなやかで
どんなスポーツでもそつなくこなす。
仕事ぶりも
段取りや身のこなし、正確さは
たぶんこれまで受け入れたこの中でも一番いいと思う。
野性のカン的なところもあって
それが彼の魅力なのだろう。

だから
試験問題の
帰国後のビジネスを
地元のリソースと関連付けて
説明しなさいという試験には
ビジネスを嗅覚的に思いついても
その関連性を論理的には説明できない。
そこをもっと説明できるように指導しようとしても、
彼には理解されないし
彼も苦しむことになる。
その理解ができたところで
何になるんだ?彼の嗅覚が正しければ
それでいいんじゃないか?
とも思わないでもないが、
論理的思考に少しでもなってもらわないと
地域の農業リーダーとして
社会をけん引する役にはなれない。
だから今回も少し厳しめに指導することになってしまった。

彼のビジネスプランは
葉菜類の栽培販売を中心とした
いわゆる回転命のプラン。
それまではただ農業資材販売と
お茶とトウガラシ栽培だけのプランだったが
最近、葉菜類に目覚めたというか
どこかの誰かがそう吹き込んだに違いないのだけど
この葉菜類を核とした
ビジネスプランをひねり出してきた。

で、これまたアンギと同じで
その葉菜類をやりたいというか
その利点を延々とそれぞれの要因に
結び付けて如何に素晴らしいかを説明していた。
それって、結果ありきじゃないのかな?と思っちゃうよね。
グランテッドじゃないよねって思えちゃう。
主義主張が変わることを
よしとしない人がいるけど
それは僕に言わせればナンセンス。
なぜなら僕らを支える要因は
日々変化し、もしくは日々それに対する認識も変わり
そうやってグランテッドに積み上げた要因の中で
これだ!と思うものが主義主張でなければ
その主義主張は簡単に空中分解してしまう。
それに、その主張で行動しちゃうと
結局その主張にしがみついて
それありきになっちゃわないかい?って
ことに意外にみんな気が付かいないんだよね。
大事なのは自分が見つけたなんとなくのアイディアではなく
もしくはみんながいうからそれが真実と想い込むことでもなく
僕たちが認識している生活世界に
そこに立っている足元から
それを支えている社会から
ゆっくりと視点を動かして
見える世界をどう思ったか
なんでそう見えるか
をクリティカルに叩いて叩いて叩いて
鍛えたものが主義主張じゃないといけない。
誰か賢い人や権力のある人
注目浴びている人みんなが正しいと言っている人
からそのアイディアをもらっちゃいけないんだよね。
だからダニさん。
君のそのビジネスプランの分析は
ビジネスプランありきだし
ぜんぜんクリティカルに叩けてないし
僕に言わせれば全然だめなんだよ。

ダニさんの地域での
葉菜類の周年栽培は
僕はそれは解に近いと思っている。
でもね、まぐれで解に近づいても
世の中の文脈や支える要因が変化したら
それは解でもなんでもなくなってしまうということを
頭に入れて投資するのと
そうじゃないのとは
天と地の差なんだよ。
わかるかい?

君の地域は
山岳地域の開けた場所だ。
これまで輸送が上手くいかず
どちらかといえばお茶や保存のきくの野菜が主流だった。
それが中核都市が育ち
そこへ農産物を供給していた産地が衰退し
もしくは
技術とインフラが良くなり君の地域が
供給先としての範疇に入った時に
アブラナ科の葉菜類に対する自然環境のポテンシャルが
ハンパなくすごいその地域は
供給量を素早く確保できれば
これからしばらくは大発展するはずだ。
こんなの日本の高速道路網と
都市圏の発展の歴史を農業に落とし込めば
簡単に見えてくる解だ。

でもそれには終わりもある。
どこで終わるのか。
そしてその次はなんなのか。
それを君の嗅覚だけに頼っていたら
つぎの商売が成り立たなくなるんだよ。
もっとロジカルに考えてほしい。
そうすれば間違いなく成功するんだよなぁ、君のその条件だと。
いいなぁ、そこの地域。
移住したいくらい。




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娘は中学一年生になっている。
もう、小さい時みたいにじゃれあったりはしないけど
まぁ、まだ仲がいい方だと思う。
たぶん。
父親の妄想かも。

金曜日や土曜日に妻が居ない時は
娘と良く映画を観賞したりする。
今回は、
ネットであれこれと映画を物色していたら
懐かしいタイトルが目に入ってきて
ついついこれを一緒に観ようということに。
それは
『アルスラーン戦記』。

もともと僕が高校生のときに
流行ったファンタジー小説で、
けっこう真っ当な歴史スペクタクル系の
ファンタジーものだったんだけど
設定初期から変な蛇王なんて出すもんだから
そこを避けて通れず
途中で作者の筆が止まって
最近完結したとかどうとか、
言われている小説である。

その小説に
美人の戦士が出てくる。
名前はファランギース。
小説で読んでいた時は、
どんな容姿なのかはあまり気にならなかったが
アニメでそれを見ると
強い違和を感じた。

ファランギースとは

その違和の通り、
娘もすぐさま反応し、
『なんであんな格好なの?』と問う。
どうみてもほとんど裸なのだ。
変だ。
明らかに変だ。
戦士なんだから鎧きてなきゃ。
剣先が触れただけで、結構怪我しちゃうよ、その格好だと。

娘はやはり中学一年生でもあるので
『ああいう格好にするとアニメを見てる男の人が喜ぶから?』と。
うーん、だろうなぁ。
それしか考えられんもんね。
必要以上に男性に媚びる格好だもんなぁ。
戦士なら鎧着なきゃね、やっぱり。
小説ではたしか男装している女性ってあったような・・・。
なんでアニメだとあんな感じなるんだろう?

娘はまだまだ幼いと思っていたけど
女性を性的に強調して描くことに
違和を感じるようになっている。

娘よ。
社会は、もっともっと
ひん曲がっているんだよ。
もうびっくりするくらい。
だから、ファランギースが
あんな格好してても
何の問題もなくビデオになってるんだろうね。
そう思う君の感覚を大事にしてほしい。
そして、こう言われることに
制作する側やそれを喜んでみる人は
はずかしいことだと思ってほしい。



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1年生のアンギ。
6月ごろに国に帰りたいと言っていた彼。
なんとか持ち直して、
今回、初めて期末試験に臨んだ。
2018年前期最終試験。
課題はいたってシンプル。
地元のポテンシャルを分析して
その結果から、自分が出来るビジネスを創生せよ、
というもの。

2018年前期は、これまでと同じように
農業構造論と地域発展論の2科目を開講しており
それらを理解していれば
わくわくするような課題だといえるだろうね。

で、アンギの場合。
彼の故郷であるタンジュンサリ郡は
なんといっても羊肉の産地。
羊の飼育もさることながら、
羊肉流通の中心となる大きな羊肉市場がある。
このポテンシャルは見逃せない、とばかりに
プレゼンの中のポテンシャルの中心だった。
そしてもう一つ。
チレンブさつまいもがある。
安納イモとよく似た系統のサツマイモで
なにせ甘い!そして香りがいい!
しかも西ジャワ州では、かなり有名なサツマイモ。
彼はこれら農産物を中心に
プレゼンテーションを行ってくれた。

ひとつ驚きだったのが
彼のセンス。
プレゼンシートの構成やデザインが上手い。
これまで見てきた中でも
群を抜いて美的センスも含めて
上手い!
こういうデザイン系の仕事がいいんじゃないのか?と
思うほど。
農業じゃなくて、この美意識の方を伸ばした方が
もっといい仕事になるような気がすると
ちょっとした発見もあった。

さて、
彼のプレゼンは、
まぁ、簡潔ではあったが
分析段階が雑で
あれこれごちゃごちゃと混ぜたあげく、
観光農業ビジネスといったところに着地していく。
もともとタンジュンサリ郡には
農業体験施設があり、その人気が落ち目になっている中で
それをもう一度盛り上げていきつつ
自分もそれに係わる
農業加工ビジネスを起こしていきたいというのが
彼のプラン。

悪くはないけど、
アンギさん、それって結論ありきで
分析はその理由になってないかい?
フラットな思考で鋭い分析を行い
現状を肯定するのではなく、批判的に見て、
そこにある事実を拾い集めていく。
その作業の中に
君の能力と地域のポテンシャルの接点が
あるのかないのかを
探すのがこの課題の主題だ。
君の場合は
観光ビジネスと加工業を繋げたという意味では
面白いけど
それだけでは観光地が再び発展する事もなかろう。
B級グルメのようなものがインドネシアでは
どういう風に評価されるのかはわからんけど
それくらいのアイディアはないとなぁ。
羊肉のソーセージやBBQだけじゃぁ、やっぱりむずかしいんじゃない?

農業観光ビジネスの勃興により
他の観光地との競争に負けた落ち目の地元観光施設に
県のお偉さんでもない君が
どうやってもりあげる種を生み出せるのかは、
やや僕らの手に余る途方もない事で
それを主軸にプレゼンをされても
やはり途中から空想のようになってしまう。

観光業というイメージから入ったのだろう。
それすらも学問を通じて批判的に徹底的に
叩いて見なければいけない。
叩いて叩いて叩いて叩いて
その中に崩れないものが見つかるはずだ。
そこからスタートをすれば
斜陽産業でも
未来はあるんだよ。たぶんね。

可能性は無限大かもしれないけど
背負えるリスクは無限じゃないよ。
あと人生の時間も。

ま、プレゼンのセンスは良かった。
それが大収穫だね。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

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